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ウィキメディア財団年次計画/2025-26/グローバルなトレンド/中立的観点方針の共通の世界基準

From Meta, a Wikimedia project coordination wiki

このページは2025年3月27日付で公開したシーンを定める「ディフ」投稿の続編として(左記の投稿で提案した)作業グループに関する最新情報を提供し、コミュニティの意見集めなど情報源となる空間を設けてあります。

ウィキメディア財団は2022年以来、財団とウィキメディア運動に影響を与える世界の動向(トレンド)を特定し、留意することに取り組んできました。これらのトレンド(以下に概説)に対応しようと作業グループを招集して現役の編集者や理事、研究者や助言者で構成する予定で、中立的観点(NPOV)方針の共通基準に関して勧告を検討し、それがウィキペディアの保護、プロジェクトの保全を高め、これら方針の運用を託されたボランティアの支援に結びつきます。

グローバルなトレンド

ウィキメディア運動の内外で大きな議論を呼んだ本年のトレンドの一つは、中立性に関するものです。オンライン情報の信頼が低下し、真実の情報とは何かという合意も断片化していると問題になっています。人によっては、世界はかつてないほど複雑化し、人々はかつてないほど分断されたと考えています。中立性に対する脅威が全世界で増したように見える今、ウィキペディアの中立的観点(NPOV)は、これまで以上に求められています。ウィキペディアにとって、この中核原則は非常に大きな役割を果たしてきましたが、四半世紀近くにわたるボランティアの貢献があってこそ、さらに強固なものとなりました。

ウィキペディアのプロジェクト群が共有する立的視点(NPOV)という基本原則ですが、このNPOV方針をどう具体的に実施するか、その方法はプロジェクトごとに異なります。私たちはこの状態をコミュニティ同士、互いに学び合う機会と捉えており、それに加えて脅威拡大と規制強化が進む環境において、中立性をめぐるグローバルな共通基準がプロジェクト(およびボランティア)をより適切に保護できるかどうかを探るチャンスでもあります。

他のどの方針も同様ですが、NPOV(中立的観点)は24年にわたるウィキペディア活動史で数百の言語からあがった数千、数万の意見を取り入れながら磨きをかけてきました。中立的視点の原則とその適用はウィキペディアというモデルの基本であり続け、それはコミュニティの議論が進化した過程に沿ってきました。 

中立的観点の方針

最近のコミュニティ・ワークショップでは、これら方針をウィキペディアの複数の言語版において大まかに確認したのですが、すると差異や矛盾点が明らかになり、ウィキメディアのさまざまなプロジェクトにも互いに学び合う機会が数多くあると判明しました。拡張権限を預かる利用者はコミュニティから中立的観点(NPOV)方針の運用を任されており、一部の言語版でこれら方針が不明確あるいは未整備であるため、どんな課題に直面してきたか解説してもらいました。

ウィキメディアのプロジェクト群を支えるボランティアの皆さんは常にプロセスの適応と改善に取り組み、世界中のデジタル・プラットフォームやメディア・プラットフォームが偏見や偽情報に悩まされる状況に対応しています。コミュニティ主導のより強力なコンテンツ管理方針(モデレーション)もあり、主にローカルのコミュニティが施行しており、ウィキペディアもウィキペディアンも共に守っています。

作業グループ

ウィキペディアに不可欠な自己統治メカニズムを支援しようと、ウィキメディア財団は現役の編集者や理事、研究者や助言者で構成する作業グループを招集し、過去20年間にわたる中立的観点(NPOV)方針の策定を慎重に検討して、その構築を進めます。そこには既に進行中の方針策定作業から得たフィードバックを組み込み、ウィキメディアの全世界のコミュニティが共有する価値観を反映します。

作業グループの検討課題とは、どうすればウィキペディアの各プロジェクト間に共通のNPOV方針基準を確立し、ウィキペディアを保護し、プロジェクトの信頼性を高め、これら方針の運用を任されたボランティアの支援を強化できるかにあります。最初の一連の提言はまずウィキペディアの各言語版に焦点を当てて、財団年次計画と予算の承認議案とともに、2025年6月に開催のウィキメディア財団理事会に提出の予定です。

作業グループはウィキメディア財団理事会のリーダー格、コミュニティ創設者、経験豊富な編集者、スチュワードを代表し、研究者の支援を受けます。

  • コミュニティ創設者:Jimmy Wales(ジミー・ウェールズ、ウィキペディア英語版、イギリス/アメリカ)- 座長
  • 理事会議長:Nat Tymkiv(ナット・ティムキウ、ウィキペディア・ウクライナ語版、ウクライナ)
  • 次期理事長:Lorenzo Losa(ロレンソ・ローサ、ウィキペディア・イタリア語版、イタリア)
  • 経験豊富な編集者:Risker(ウィキペディア英語版、カナダ)
  • スチュワード: Alberto Leoncio(アルベルト・レオンシオ、スチュワード、ブラジル)

当該グループの参加者はすでに年次計画コミュニティ・ワークショップに参加し、この主題の議論を立ち上げ、その範囲を定めました。当作業グループにはマリヤナ・イスカンデルCEO(Maryana Iskander)とスティーブン・ラポルト法務顧問(Stephen LaPorte)が主導する財団職員の支援を取り付け、必要に応じて研究者や専門家も参加します。

スコープ、タイムラインそしてウィキメディアンをどう助けられるのか

当作業グループは中立的観点(NPOV)方針に関連する作業ストリーム4件の開発を目指し、ウィキメディア運動内外のコミュニティからこれらトピックに関する貢献をこのトークページで募ったり、あるいは財団の年次計画に関する話し合いの一環として取り上げます。

  • ウィキメディアの全プロジェクトにわたり既存のNPOV方針を集約して初期分析。これは言語とプロジェクトをまたぐ相当量の作業となり、8月までに草案第1号を作成して評価とフィードバックを受ける準備を目指します。
  • 調査と分析に基づく洞察集として、特定の論争の的となったトピックがウィキペディア外で、またウィキペディアの複数の言語版でどのように扱われたかまとめる。この作業ストリームではNPOVの調査と洞察を経てウィキペディアを調査する研究者向けのガイダンスを設け、さらに出版物を作成してボランティアやプロジェクトごとのコミュニティとNPOVの議論を繰り返し続けるよう活用します。
  • 提案集として、信任された役割を担った拡張権限を預かる利用者がNPOV方針の解釈と実装をするとき、どのように支援できるかまとめること。この作業ストリームにはウィキマニアのセッションが含まれ、情報共有をボランティア利用者同士やプロジェクト間で促すことに重点を置きます。
  • コミュニティ創設者ジミー・ウェールズが発信する25年後のNPOVの考察では、世界がウィキペディアの中立性の原則に対し、現在そして今後25年にわたって何を求めるか、その見解を示します。

ウィキメディアンの皆さんにこれらの取り組みにご協力願いたく、既存のNPOV方針を継続して集めたりこのウィキデータ項目の更新をしていただけないでしょうか。拡張権限を預かる利用者をどうすれば最も効果的に支援できるか、アイデア投稿もこのトークページでお待ちしています。

最初の一連の提言は財団の年次計画と予算とともにウィキメディア財団理事会(2025年6月開催)に承認を諮る予定です。これは初期の作業範囲であることから、ウィキマニアで一部の成果物をさらに開発して財団理事会の次回会合で公表し、また、一部の作業はウィキマニア終了後も継続する必要があると見込まれます。

調査の貢献

この作業に役立つ補佐として、NPOV の原則と方針に関わる調査や比較研究その他の事例(work)をトークページに共有してください。

コミュニティとその他のリソース集

ウィキメディアのさまざまなプロジェクトにおける中立的観点( NPOV)方針の例をトークページに共有していただけると、既存のものをマッピングできます。

ご助力に感謝!

世界におけるウィキペディアへの依存はますます高まっており、AIチャットボットから検索エンジン、音声アシスタントにインターネット上のコンテンツ再利用ツールにまで至ります。従来にも増して利用される(そして必要とされる!)今こそ、ウィキメディアンである私たちには、ウィキメディアのプロジェクト群の中核となる原則を強化して共通の価値観を維持していくよう求められています。世界中の何十億もの人々が頼りにするコンテンツを提供する上で、ウィキペディアはその中立性を強化し、その信頼性をさらに高めることになります。

ウィキメディア運動の内外を問わず、これらのトピックに関心のあるすべての方から、貢献をお待ちしています。ウィキメディア財団年次計画に参加する方法はこちらの一覧をご参照ください。オンウィキや他のコミュニティ空間にもご協力をお願いできませんか。