ウィキメディア財団 年次計画/2025-2026/グローバルなトレンド/拡張権限を預かる利用者
ウィキメディアの各サイトでは信頼できるボランティアがタスク類を—技術と社会の両面で—担当し、ウィキメディアのプロジェクト群とそのコミュニティが円滑かつ安全に運営されるように努力しています。ツールやアクセスが必要となる — 利用者ブロックやページ削除などの — 状況では、ウィキメディアンがコミュニティから信頼できる利用者を互選して、高度なタスクの実行、方針やガイドラインや合意事項の策定を担ってもらいます。拡張権限を預かる利用者という包摂的な用語で右の利用者を呼び始めています。管理者やチェックユーザー、スチュワードや仲裁委員会の参加者など、他にも多くの利用者がいます。これら利用者は最前線に立ちウィキメディアのプロジェクト群を支え、信頼とツールを活かしてウィキメディアのプロジェクト群を安全で快適な環境に保ちつつ、他の編集者が貢献できる環境を整えて(curate)います。
これら利用者はウィキメディアのプロジェクト群が健全である上で非常に重要な役割を果たし、悪影響を防いだり前向きな変化への道を切り開いているものの、その人数は減少傾向にあります。財団では、さまざまなコミュニティにわたって広範な権利を預かる利用者と協力し、その人たちの活動を支え多世代にわたるウィキメディアの実現を目指しています。
拡張権限を預かる利用者とは?
「拡張権限を預かる利用者」(users with extended rights)とは割に新しい用語で、管理者や役務者(チェックユーザとオーバーサイト=CheckUsers and oversighters)ならびにその他の高度なアクセス権限を預かる多くの役割を網羅します。
以下の表に私たちの解釈をまとめてありますが、多くのプロジェクトではその他の役割構造を備えていると理解しています(例えば削除者、あるいは議論の修了者=deleters or discussion closers)。
| ローカルな役割 | グローバルな役割 |
|---|---|
| 管理者 コミュニティの合意形成を取り付ける |
グローバル管理者 小規模なウィキで管理者タスクを補佐する |
| ビューロクラット 管理者選挙や助成金配給を調整する |
スチュワード 最高位アクセス権の利用者権限、その他ほとんど全てのタスクを実施 |
| チェックユーザー 組織的荒らしの調査 |
オンブズ委員会 個人情報侵害の調査 |
| 秘匿者(オーバーサイト) 問題のある素材を秘匿する |
ユニバーサル行動規範調整委員会 ユニバーサル行動規範を施行 |
| 裁定委員会 紛争や問題行動の仲裁 |
皆さんから以下の役割について学びたいと考えます。
- これら役務の責任は皆さんのウィキとはどのように異なっていますか?
- 上記に表していない役務が皆さんのウィキにはありませんか?
皆さんの観点をトークページで共有してください。
さまざまな格差
ウィキメディアのプロジェクト群を維持し成長させたいなら、これら利用者の果たす役割の重さを考慮し、その人たちに続けてもらい新しく採用することはウィキメディアの長期的な維持の鍵となります。特に世界的な傾向として、オンライン情報に寄せられる信頼の断片化、誤情報や偽情報の蔓延に照らすと、ウィキメディアの信頼性と関連性を維持する最前線を形成する上で拡張権限を預かる利用者は重要な役割を果たします。しかしながら利用者のうち、拡張権限を預かる利用者になる道のりを歩み始める人は年々、減少しています。調査チームによる最近の報告書「ウィキペディア管理者の採用と維持および消耗」(Wikipedia Administrator Recruitment, Retention, and Attrition)によると、大規模なウィキペディアの半数以上では2018年以降、月次の活動中管理者数は減少しています。
管理者の減少はそれ自体が重大な問題ですが、一般に管理者権限を参入の契機とする他の役務があり、それら影響力がさらに大きなものにもが迫る懸念すべき事態を浮き彫りにしています。例えばスチュワードは全員、ウィキ1件以上で管理者を経験した人であり、通常はチェックユーザーまたは監視者も経験済みです。管理者が減ると、アクセス権がもっと高い役務を担う資格者 も減ってしまいます。

上図では巡回者(パトロール係=Patrollers)がロウト(funnel=逆ピラミッド)の最上段に位置付けてある点に注目してください。巡回は多くの人にとって、拡張権限を預かる利用者への入り口となる役割です。何千、何万人ものウィキメディア編集者は、最近の変更や新規ページを巡回しては 建設的でない編集を見つけ出しては差し戻しています。拡張権限があると、巡回は必須ではなくとも付随しており、拡張権限を得る利用者の多くは巡回担当(パトロール係)出身です。
拡張権限を預かる利用者の支援
ウィキメディア財団年次計画の2023-24会計年度版および2024-25会計年度版では共に、複数の目標に照らしてこれら利用者対応を重視していました。現在の取り組みには、技術支援と社会的対応の両面が含まれます。
Technical interventions
拡張権限を預かる利用者の負担を軽減し技術ニーズに対応するため、複数の更新と新機能を導入済み(または開発中)です。今年のインフラ目標では、拡張権限を預かる利用者の能力を拡張する技術に投資することを重点的に取り上げています。
- 自動モデレータ - 荒らし対応を自動処理するツール(Automoderator)
- コミュニティ設定 - ボランティアの管理者はそれぞれが担当するウィキで機能のカスタム化が可能になる(Community Configuration)
- アップロードウィザードの機能改善 - 不正なアップロード件数を減らして、コモンズのアップロード監視ボランティアの負担を軽減(UploadWizard)
- 編集チェック - 不正な編集が実施される前に新規参加の編集者を正しい方向に導くフレームワークであり、新規編集の監視ボランティアの負担を軽減(Edit Check)
- 編集巡回 - Android 版アプリに組み込み新規編集を巡回するツール(Edit Patrol)
- iOS ウォッチリスト - 巡回係が監視中のページの最近の編集を確認できるよう、ウォッチリスト機能を iOS アプリに拡張(iOS Watchlist)
- ページ査読の改善 - 新規立項ページのボランティア巡回者がウィキペディア英語版で使うツールのメンテナンス(PageTriage improvements)
- グローバルなアカウント・ブロック - 要望の多いグローバルなアカウント管理オプションをスチュワードに提供(Global account blocks)
社会的介入
プロジェクトが確実に持続するには、拡張権限を預かる利用者を得ることとその維持が欠かせません。より多くの利用者を促し拡張権限を預かる立場になってもらうため、また既存の利用者がこれからもウィキメディア・プロジェクト群を構築し続ける上で求められるサポートを提供するには、私たちが利用者それぞれのニーズや動機、利用者の道のり(user journey)を理解することが必須です。
- 調査チーム管理者の募集と保持に関する調査プロジェクト
- 拡張権限を預かる利用者のストーリーテリングと利用者祝福の増加に対応するには、ウィキ祝福(WikiCelebrate)と年間ウィキメディアン表彰に含まれる年間役務者部門などの重み付の移行が含まれる点(Functionary of the Year category for the Wikimedian of the Year)
- ウィキマニア2025の会議前日程では、拡張権限を預かる利用者が人脈を構築したり技能共有のため、特別な1回限定の拡張権限保持者補助金を受けた利用者をウィキマニアに呼び寄せます。
- 法務部門の委員会支援チーム(Committee Support Team)は直接、拡張権限を預かる多くのユーザーを補佐します。
- スチュワードとU4C 委員との対面型会議
参加しよう
拡張権限を預かるユーザーの作業文書化にご協力いただける人は、トークページに参加してください。
- これら役務の責任は、皆さんのウィキとどう異なりますか?
- 上記に表していない役務が皆さんのウィキにはありませんか?
- 皆さんのウィキにおける実践方法で、他の人と共有や議論をしたいものはありますか?
