ウィキメディア財団最高経営責任者兼事務長/Maryanaのリスニングツアー/新しい流れ

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優先順位とパズル | 聴き取りツアーの反省

ウィキメディア運動は、世界でもトップクラスのウェブサイトを作り上げました。誰でも編集できる百科事典であるウィキペディアは、毎月150億回以上読まれています。ウィキペディアとその姉妹プロジェクトは、フリーな知識のエコシステム全体のバックボーンです。人類史上最大の知識のコレクションはボランティアの貢献により作り上げられました。これまでの20年間の世界的な動きを象徴しています。次の20年に向けて、この運動が世界の知識のエコシステムを作り続けるために、急速に変化する世界の現実に根ざした活動を続けていかなければなりません。

2週間前、ウィキメディア財団の新CEOであるMaryana Iskanderは、2ヶ月にわたるウィキメディアの貢献者、スタッフ、パートナーとの対話の旅から得た彼女のテイクアウェイズを発表しました。彼女の最初の疑問は、オープンな知識の創造という原則を将来にわたって確実に存続させるために、外部の新しい動向に直面して、この運動がどのように関連性を維持できるかを理解する必要性を中心に据えたものでした。運動として自らに問わねばなりません。「世界は今、私たちに何を求めているのか?

まず始めに財団のリーダーたちが、現在および将来にわたって情報のエコシステムに影響を与えるであろう関連トレンドを特定することに着手しました。というのも知識にアクセスし、交流し、共有する手段の重要な変化が関連しているため、今後数年間で流れが加速すると予想されるからです。

それは、私たちの運動にとってチャンスであると同時に課題でもあります。

検索が根本的に変わりました

利用者が何をどのように検索しているかは、ここ数年で根本的に変化しています。このような情報探索行動の変化は、ウィキペディアやその他のフリー・ナレッジ・プロジェクトに新しい読者がどのようにやってくるかに影響すると思われます。

人々が検索するものが変わってきています。利用者は、検索クエリに対する答えをリッチコンテンツ(画像、ビデオ、オーディオ形式など)に求めるようになってきています。

TikTok、Instagram、YouTubeといったリッチコンテンツファーストのプラットフォームは、情報を求める人の入り口として(つまり検索エンジンとして)利用され、膨大な視聴者を獲得しています。例えば2021年、TikTokはトラフィックでGoogleを上回り、世界で最も訪問者が多かったウェブドメイン+となりました。

この傾向を利用してオンライン・プラットフォームは、リッチでスティッキーなコンテンツの作成に積極的に投資し、検索者が自分たちのプラットフォームに訪れ、そこに留まるようにします。これは、利用者をサードパーティのコンテンツに誘導し、クエリに応えさせる従来の検索エンジンとは異なります。例えば、TikTok は、Jumps#learnontiktok などの新機能やキャンペーンを通じて、教育関係者やサブジェクト・マター専門家を惹きつけ、教育コンテンツを作成するよう働きかけています。(これについては、次のセクションで詳しく説明します)。

取り残されないために、従来の検索エンジンもビジュアルファーストの検索体験に投資しています。Googleは、利用者がGoogle に来て、必要なものを見つけたら、そこに留まってくれることを狙い、テキストと画像の両方をナレッジパネルで直接提供するようになってきています。

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検索方法が変化しています。音声が、検索する際の主要な方法となりつつあります。

現在、世界全体の検索の30%が 画面のないデバイスにより声で行われています。 2018年には、世界人口の約3分の1がモバイルで音声検索を利用となり、2020年には 音声検索は50%以上に達しています。米国では、スマートスピーカーの世帯普及率が 今年55%に上昇すると予測されています。

従来のテキスト検索によるトラフィックのほとんどに依存しているプラットフォームとして、検索行動のこれらのシフトは、私たちの現在および将来にとって何を意味するのでしょうか?

世界のコンテンツ需要に応える

インターネットユーザーの数はこの10年間で倍増し、その成長の大部分はアジアとアフリカにあります。しかし、今日のインターネット・コンテンツの半分以上は英語であり、世界人口の20%以下しか使用していない言語です。インターネット・プラットフォームは、競争力を維持するためにオリジナルの現地語コンテンツを作成するために膨大なリソースを投入しています。

方法は主として2つです。

コンテンツ制作やコンテンツ翻訳への投資増加

YouTubeやSubstackなどの人気プラットフォームでは、成功したクリエイターが多額の収入を得られるマネタイズチャネル(スポンサーシップ、サブスクリプション、広告販売)を通じて、ユーザーがコンテンツを作成する動機付けがなされています。Facebook、Snap、Twitterは最近、特定のコンテンツやフォロワーのしきい値を達成したユーザーに対して金銭的インセンティブを提供する計画を発表しています。トップクリエイターの関与を維持し、新しいパワーユーザーをプラットフォームに採用し続けることを目的としています。さらに、この10年間で、翻訳業界で働く人の数は倍増しており、これは主に消費者の新しい需要に対応するためです。

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機械翻訳と人工知能(AI)コンテンツ制作への投資

AIは、コンテンツの翻訳、さらには新しいコンテンツの作成において著しく優れています。例えばグーグルは、インターフェースの自動翻訳をクロームブラウザの中核機能としています。自分の言語には無いコンテンツを検索するユーザーは、機械翻訳されたウェブサイトコンテンツ(ウィキペディアを含む)を目にする機会が増えています。また、新しいコンテンツを生成するためのAIにも投資している(例:Google Brain Wikipediaの記事/スタブ)。AIの向上は、翻訳と新しいコンテンツの作成の両方を根本的に変える可能性があります。グーグルのような既存の技術プレイヤーやOpenAIのような新しい組織は、より堅牢で柔軟なコンテンツ生成AIエンジンの構築に競って取り組んでいます。近い将来、高度な知識の合成と創造が可能になるかもしれません(ただし、これらの技術がいつ/どの程度人間のレベルに近いパフォーマンスを発揮するかはまだ不明です)。

ウィキメディアのプロジェクトは、どのようにすれば関連するローカル言語の知識のギャップを確実に埋めることができるでしょうか。 他のプラットフォームとは異なる、私たちのコミュニティ主導のコンテンツ作成モデルについて、どのように認識を高め続けることができるでしょうか。

偽情報と誤報が増加しています

偽情報、ディスインフォメーションと誤報、ミスインフォメーションは増加しています。信頼できない情報源は2019年と比較して2020年にはソーシャルメディアエンゲージメントにおけるシェアを倍増させています。偽情報と誤報は、それを可能にするテクノロジーと、スキャン、ブラウジング、ノンリニアリーディングという特徴を増幅させたオンライン読書といったユーザー行動の変化により急速に広まっています。

技術プラットフォームは偽情報の危機に取り組むために3つの主要なアプローチをとっています。ウィキメディアのプロセスを借りたり、真実の究明のためにウィキメディアに依存したりしていますが、成功は限定的なものにとどまっています。

AIアルゴリズムを補完するために人間のモデレーターに報酬を支払うこと

例えば、TikTokは現在雇用している1万人のコンテンツモデレーターの規模を拡大しています。YouTubeやPinterestなども同様に、人間のコンテンツモデレーション能力を拡大させています。

ファクトチェック源としてのウィキペディアの活用

YouTube の InfoBanners は、Wikipedia などのサードパーティのソースから情報を取得し、偽情報を流しやすい動画にコンテキストを提供しています。Google と Facebook は、ウィキペディアのホバーカードを使用して、誤解を招く可能性のある情報に対してより多くのコンテキストを提供しています。

コミュニティモデレーションの実験

Twitterの新しいバードウォッチプロダクトは、Wikipediaモデルを明確に借用し、パワーユーザーに、誤解を招くと思われるツイートを特定し、情報的な文脈を提供するための公開メモを添付するように求めています。

誤報や偽情報がウィキメディア・プロジェクトや他のプラットフォーム上の情報の質を脅かしている中、より広い知識のエコシステムにおける偽情報への対処において、ウィキメディア運動が果たすべき役割があるとすれば、それは何でしょうか。

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このような動向は、より大きな情報のエコシステムの中でのウィキメディアプロジェクトの役割を形成する可能性を有しています。ますます複雑化し相互に接続される未来において、私たちはインターネットアクセスの状況の変化や、プライバシー、コンテンツの適正化、ソーシャルメディアのプラットフォームが誤報に及ぼす影響、問題を法制化しようとする政府の拡大規制など、影響力のある要因を予測しなければならないでしょう。(たとえば、最近 dark が公開したブログ記事では、今後予定されている法律のリスクと、言論の自由と自由な知識のエコシステムを保護する政策を支持することの重要性を強調しています)。

すでに20年以上の歴史を有するこの運動は、自由な知識の収集と共有において、今後も重要かつ積極的な貢献ができるはずです。2030年に世界中の社会に自由な知識をさらに拡大するという大胆なビジョンに向かって推し進める際、このような動向が実施に向けたアプローチに影響を与えるはずです。