ウィキメディア財団2019年中期事業計画

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ウィキメディア財団2019年中期事業計画

ウィキメディア2030運動戦略の方針は2017年にウィキメディアのグローバルなコミュニティの承認を受けたもので、ウィキメディアの運動、プロジェクトおよび機関が「私たちのビジョンを共有する人なら誰でも参加できる」ようにする「フリーな知識に不可欠な基盤」になることを求めます。この方針により、「すべての人がすべての知識の総計を自由に共有できる世界」というより広いウィキメディアのビジョンの実現を目指しています。

ウィキメディア財団と職員はさまざまな方面の努力を支援し、ウィキメディア2030が示すビジョンの実現に向けて、今後10年で制度およびプログラムの大きな変化を準備しています。この変革的な取り組みの第一歩として、ウィキメディア財団の権限のもと「中期事業計画」を作成し、制度および技術の目標の主なものを取上げて中期的な展望を概説します。

この計画はウィキメディア財団のさまざまな専門分野にわたる協力の成果であり、財団がどのような方法で世界を導き構築し、設計して奉仕しようとしているか、無償の知識の使命とは何かを表現します。これは目標と優先する分野を明確にするとともに、評価指標を確立し、ウィキメディア運動とその資金提供者ならびに私たち自身に対する説明責任を測ろうとするものです。財団はウィキメディア運動で独自の役割を果たしており、広義な運動を支援して無償の知識に不可欠な基盤を目指すには、どのような活動に取り組むべきか。私たちの解釈が「中期事業計画」に反映されています。

目標

中期事業計画は2つの包括的な目標で構成され、優先分野が5つあります。2つの目標とは、ウィキメディア運動への世界規模の参加拡大と、ウィキメディア製品の体験を時流に合わせることです。インターネットの成長に対するウィキメディアへの関与の落差を埋める一方で、私たちのコンテンツと影響力そして寄付の源泉である、中核マーケットとの関連性を持続します。

地球規模の人口統計、コンテンツの作成および知識の消費の傾向を反映させ、より多様で堅牢な UI (ユーザー エクスペリエンス) を築くことが私たち財団の課題です。世界で適用できる能力を開発し、ターゲットとするインド亜大陸やサハラ以南のアフリカ、東南アジアや中東などの地域に拡大するため、対象に特化した機能や配布方法、コミュニティの成長とマーケティング手法を適用します。また同時に、直近のターゲットである急成長中の地域ばかりか、人口や言語話者がより少なく疎外されてきた数多くの地域でも、同様にフリーな知識への貢献は重要です。

1. 新興マーケットを中心に、世界的に参加を拡大する。インターネット全体の使用率に合わせてユーザーの数と多様性増加を目指す努力として、認知度が低いまたは使用頻度が低い地域や言語への取り組みを強化し、ウィキメディアのサイト群やプロジェクト群、製品の使用を世界中で拡大することに重点を置きます。

2. 製品の経験を現代化する。寄稿者と読者の経験を便利で楽しいものにします。ウィキペディアを単なるウェブサイトと見なすことから、ウィキメディアはエコシステムであり、知識と情報、洞察の集積であって、製品経験やアプリケーションに無限の可能性があるというイメージへと移行します。

ウィキメディア2030という長期的な戦略方向性の実現にとって、これらの目標達成を成功させることは前提条件であり、ウィキメディア運動の総合ビジョンと価値の向上に不可欠であると信じています。

優先事項

上記の目標達成に向け、下記の優先事項を投資と拡張の対象に選びました。

1. ブランドの認知度 – ウィキメディアに対するグローバルな認識を明確化して強化し、まだサービスを提供していない場所で私たちのフリーな知識の使命の認知度を上げ人々に親しみを持ってもらいます。

2. 世界規模の読者層 – 読者数を増やし維持するには、私たちが奉仕する対象としての世界の姿をユーザー像に反映させますが、そのためにはアウトリーチやマーケティング活動の支援を得てプラットフォームの内外で魅力的な消費体験を統合します。

3. 活発なウィキメディア運動 – 安全で互いに歓迎しあい、多様で持続可能な運動が繁栄しつづけるため、リーダーや貢献者、支持者やフリーな知識を目指す提携先がこれを共創し、成長を支え育成します。

4. プラットフォームの進化 – ウィキメディアの技術エコシステムの改善と近代化によって、人工知能(AI)がコンテンツを生み出し、豊かなメディアが学習の主流となる状況、また人々が協働に使用するツールが複数のデバイスで容易に機能し、あるいは技術的能力が最小限でも使いこなせる状況に対応します。

5. グローバルに支持される – フリーな知識、ウィキメディアのコミュニティやプロジェクト群の価値観の整合性と独立性を守りながら、さらに政府機関や一般企業、市民社会その他の利害関係者との連携と独自性を保ちます。

私たちは組織としてこれら5つの優先事項の支援に関して一致して当たり、それはすべての評価指標が財団という集団に属することを意味します。財団の取り組み全般に注目し、あらゆる投資分野が統合され、確実にその構築の基盤となるように図ります。

有効性と回復力

また財団がフリーな知識を支える運動に変化を起こす主体として効果的であるためには、財団内部にも変革が必要であることを認識しています。私たちのコミュニティやプロジェクト群とサービスは、フリーな知識に不可欠な基盤として世界規模で役立つように期待され、同時に財団はリーダーとしての慣習を改善し続けることで、卓越した文化が深く根付いた組織作りを進めなければなりません。

内部の縦割り体制を突破し、私たちが認めた優先順位に直接沿わない作業は「いいえ」と言って否定すること、私たちの価値観と目標を反映した新しい規範と慣行を確立するとともに、作業に用いる方法を精選しツールを改めて選び、造形しなおします。私たちが奉仕する世界を反映した多様なワークフォースの構築に尽力します。価値観を反映した規範と慣行をもって、分け隔てをしない文化を促進します。重要な決定と目標に関わる共通理解の維持。調整済みのリスクを負い -- 使命に誠実であり、寄付者の資金を維持し続けます。

これは私たちの責任です。その目標と優先事項をここに掲載します。こちらが私たちの計画です。この道をリードする存在として未来を形作るため、ウィキメディア運動の表現方法を定義し直し、これらを追求しています。プロジェクトのプラットフォームはフリーな知識の源として認識され、財団は知識を解放するのに役立つ主導的存在と見なされます。

関与のモデル

下の図は、ウィキメディア運動がその勢いと持続的な関与をどのように構築しているか示しています。人々がウィキペディアの存在に初めて気づくのは、直接、知識を検索したり、あるいはブランド認知度キャンペーンの機会だとされています。一度、サイトに参加することで、ウィキペディアの価値と使命にありがたさを感じ、それをさらに深い関与に変え、寄稿や寄付または支持 (アドボカシー) につながる機会になるかもしれません。こうして関与とコミュニティ参加が拡大していくと、コンテンツにますます多様性が生まれ、今度はそれがより多くの読者を呼び込むという循環として回り始めます。私たちが一体となって取り組む優先課題としては、このよい循環を推めながら深めていくうちにウィキメディア運動とその影響力が育ち、やがて未来が開けることを目指します。

より多くの地点でブランドの認知度を高めていくと、ウィキメディア運動に新しい読者が集まりやすくなります。読者体験を強化しフォームに新しい要素を加え、さらに地域に関連のあるコンテンツを増やすことにより「世界規模の読者層」を維持し、拡大していきます。プログラムと方針に基づき、だれでも歓迎してもらえる多様で健全なコミュニティを促す活発なウィキメディア運動を実現すると、そこからさらに多くの読者を引き付けるコンテンツ作りを支援します。プラットフォームの進化によりサイトを常に最新の状態に保ち、プライバシーを守って安全に保つことができ、コミュニティにとってはより豊かな地域に密着したコンテンツを作成し共有できるようになります。そして世界中で活動する能力はグローバルに支持されることを通じて保たれ、またフリーな知識の価値を代表して、一般社会に向けたより積極的で力強い声になります。

最後になりましたが、組織の強靭さがこれらの野心的な目標達成に不可欠な条件であると確信しています。この中期事業計画の実行により、同時にウィキメディア財団の組織の有効性と回復力の向上にも尽力します。今後の数ヶ月をかけ、持続可能な長期的成長を目指して組織の文化と業績を向上させる計画を明確にします。

Wikimedia Foundation 2019 Medium Term Plan - model
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