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User:Tomos/日本の著作権法に基づく投稿ガイドライン

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日本の著作権法に基づく投稿ガイドライン

はじめに

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この文書は、文章を執筆・編集をされる方の参考になることを目的として書かれています。参考資料を使って文章を書く場合に、どのような書き方をすると他人の著作権を侵害する可能性を減らせるか、という点について解説するのが主な目的です。

但し、この文書は内容の正しさを保証するものではありませんし、また、法律相談のためのものでもありません。この文書の内容に関連してあなたがとった行動から起こった問題や損害、生じた責任などについては、この文書の著者は責任を持ちません。個別の事案については法律の専門家に相談して正しい情報を得られることをお薦めします。

このような条件に賛同できる方のみ、この文書をご利用下さい。

どのような著作物を自由に利用してよいか

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独創性や新規性に欠ける文章

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Q. 著作権法では、著作物は創作的な表現であるとされています。ということは、創作性を欠いているような平凡な文章であれば、自由に利用して構わないのではないでしょうか?

A. そうとも限りません。過去の裁判では、独創性や新規性がない文章であっても、書き手の個性が何らかの形で反映されていることが伺えればそれでよい、としている例があります。そこで、誰でも書けそうな凡庸な文章であっても、無断で利用してしまうと著作権侵害になってしまう可能性が出てきます。

参考になる判例:

文芸、学術、美術、音楽に属さないもの

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Q. 著作権法では、著作物は文芸、学術、美術、音楽の範囲に属するものだとしています。そこで、このいずれにも属さないような文章や作品であれば、自由に利用しても問題ないのではないでしょうか?

A. そうとも限りません。この著作権法上の規定について過去の裁判で示された解釈の中には、著作権保護の対象になるのは単にこの4つのジャンルに属するような作品だけではなくて、人間の精神活動の成果一般である、とするものがあります。

参考になる判例:

事実の伝達に過ぎない文章

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Q. 丸写しでも、事実を記述した部分であれば著作権侵害にならないのではないでしょうか?

A. 著作権法10条2項には、「事実の伝達にすぎない雑報及び時事の報道」は著作物ではないとあります。ですが、新聞記事のように事実の伝達を主とする文章について争われた裁判では、事実の選択・配列・表現などについて創作性が認められるので、新聞記事のようなものであっても著作権保護の対象になる、とされています。

参考になる判例:

Q. 文章にもなっていないような、業績リスト、年表、略歴などの場合には、丸写しであっても著作権侵害にならないのではないでしょうか?

A. そうとも限りません。

電話帳の中でも、単に50音順に並べただけではなく、何らかの形で分類したり、特定の基準によって選別した場合には、そこに編集著作物としての創作性が認められ、著作権保護の対象となる、とされています。

また、選挙における候補者の当落予測を記号で表現した表が著作物だと認められたケースもあります。

参考になる判例:

無断利用が黙認されている著作物

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Q. 匿名掲示板の書き込みように、そもそも発表の形式からして著作権を主張していないと思われるようなものであれば、自由に利用してもよいのではないでしょうか?

A. 過去の判例では、そのような議論が否定されたことがあります。誰のものかわからない書き込みであっても、匿名の著作者がいると前提する方が安全でしょう。

参考になる判例:

Q. 2ちゃんねる上のコピペ文のように、みんながコピペを繰り返しているようなものであれば、それを自由に利用してもよいという暗黙の許諾があると考えていいのではないでしょうか?

A. 過去の判例では、そのような議論が否定されたことがあります。何十年も利用していた著作物について何も抗議などを受けてこなかった場合であっても、それ自体は著作権侵害を正当化することができず、著作権者が訴訟を通じて損害賠償を求めれば、支払いを命じる判決が出る可能性は依然として残っていると考えた方が安全でしょう。

参考になる判例:

政府の発行物

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Q. 政府が発行したものは、著作権が認められないのではないでしょうか?

A. そうとは限りません。日本の場合には、著作権で保護されないものは、著作権法の第13条に規定があります。ここから国、地方公共団体の機関、独立行政法人の発行する「告示、訓令、通達その他これらに類するもの」は著作権法で保護されません。これと一見似ていますが、著作権法の32条には、「広報資料、調査統計資料、報告書その他これらに類する著作物」については、特に禁止する旨が記されていない場合には転載してよいものとされています。そこで、このような著作物に何らかの改変を施したり、翻訳したり、その他転載以外の仕方で利用する場合には、著作権侵害になる可能性があります。

外国でパブリック・ドメインに属している著作物

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Q. 日本国外で、パブリック・ドメインに属するとされている著作物なら、自由に利用して構わないのではないでしょうか? パブリック・ドメインに属するということは、既に著作権の保護期間が切れているなど、著作権が認められないということですから。

A. これは場合によります。著作権法の改正や著作権にまつわる条約の新たな締結などを通じて、かなり複雑な事情があります。一例として、キューピー人形はアメリカでは1941年に著作権の保護期間が切れ、パブリック・ドメイン入りしました。ですが、日本での裁判では、キューピー人形の著作権を規定する様々な著作権法や国際条約などを検討した結果、2001年時点でも、日本国内では依然として著作物として保護されている、と判断されました。

但し、著作権法の58条の規定により、ベルヌ条約、WIPO著作権条約、WTOのマラケシュ協定が根拠になって保護される外国の著作物については、原則としてその著作物の作成された本国での保護期間が切れれば、日本での保護期間も終了します。万国著作権条約はここに含まれていないこともあって、キューピー人形については上のような判断が下されることになりました。

参考になる判例:

著作物をどのように利用してよいか

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部分的な利用

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Q.  一部分だけを抜粋して転載するなら問題がないのではないでしょうか?

A. これまでの判例では、本のごく一部を無断利用したものなどについても、著作権侵害が認められています。抜粋した部分に著作性が認められる場合には、そのために著作権侵害になってしまう場合などがあります。


Q. 一部分だけ表現が似通っていても、文章全体の構成や内容が大きく違っている場合などには問題がないのではないでしょうか。

A. 全体の構成や内容が似ていない分、問題になりにくくはあるかも知れませんが、転載した部分が著作性のある文章であれば、問題になります。

Q. 非常に短い文であればそもそも著作権保護の対象にならないのでは?

A. これまでの判例では、短い文であっても、著作性が認められたケースが多くあります。

例えば、単語の語呂合わせ、交通標語、俳句、などは短い文章ですが、著作権保護の対象になる場合があります。

参考になる判例:

表現の変更、要約

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Q. 自分の言葉で要約したものであれば問題ないのではないでしょうか?

A. 要約した文章は、元の文章と全体の構成が似ていたり、文中で選択されている事実・配列などについても元の文章と似ていたりすることがあります。そこで、どのように要約するかによって違ってきます。著作権で保護されるのは、文章の表現だけではなく、以下のような点も含むためです。

  • 全体の論の運び・構成。外面的な表現の類似ではなく、内的な構成。
  • 文中で選択されている事実やその配列。
  • 文章の創造的な表現の本質的な特徴。

参考になる判例:

表現内容の変更

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Q. 同じ表現を用いている部分があっても、あるいは仮にそういう部分がほとんどであっても、表現している思想や感情が非常に異なっていれば、それは別の著作物になるので、問題ないのではないでしょうか?

A. 表現している思想や感情が大きく異なっていても、元になっている作品の創作的な表現の本質的な特徴が感じ取れるのであれば、依然として著作権の侵害になるとされています。このような理由から、パロディ作品は、時として表現内容は大きく異なっているにも関わらず、元になった作品の著作者、著作権者の権利を侵害しているとされます。

参考になる判例:

複数の資料の組み合わせ

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Q. ひとつの資料ではなく、複数の資料を使えば問題ないのではないでしょうか?

A. 部分的な一致や類似が著作権侵害になる場合がある、という上述の点に気をつけて下さい。いずれかひとつの資料に、部分的に似てしまうと、それが著作権侵害になる場合があります。

ですが、複数の資料を使うことは、全体の論の運び、事実の選択や配列、表現などについていずれの資料とも全体的にも部分的にも異なる文章を作成することに役に立つ場合が多くあります。

偶然の一致、必然的な一致

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Q. 偶然の一致してしまった場合でも、著作権侵害になるのでしょうか?

A. 偶然の一致だということが法廷で認められた場合には著作権侵害にはなりません。但し、ある文章と別のもう一つの文章が偶然一致したのか、それとも一方が他方に影響を与えた結果、一致が起きたのか、といった点について争いになれば、法廷で双方が証拠を提出するなどして裁判官に判断を委ねるようなことにもなります。

Q. 数学の概念や法律の用語など、一部の物事については定義がはっきり決まっていますが、そういう定義を同じように書いたらそれで著作権侵害になってしまうのでしょうか?

A. 特定の立場から特定の概念を説明する時には、必然的にある表現になってしまうことがあることは過去の判例でも認められています。そのような必然性によって生じる一致は著作権の侵害にはならないとされます。


まとめ

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以上をまとめると、次のようになります。

一見自由に利用してよさそうなものや、政府の発行したもの、パブリック・ドメインに属するとされているものなどであっても、それらを自由に複製したり、改変したりした場合には著作権侵害が発生する可能性があるので慎重に検討する必要がある。

複数の資料を利用して、結果として、利用した資料のいずれにも、全体としても部分的にも、表現の上でも、構成の上でも、構成要素の取捨選択についても、似ていないような文章を書くと、安全性が高い。

部分的にであっても、また、直接の表現以外に、構成や構成要素の取捨選択についてであっても、一致や類似があると、それが著作権侵害になる場合がある。