Wikimedia Quarto/2/Board-letter/Ja:

From Meta, a Wikimedia project coordination wiki

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ゴクラクチョウカ(ストレリチア)
ゴクラクチョウカ(ストレリチア)

2004年はジミー・ウェールズが上記でお伝えした理由だけでなく、他の理由でも驚くべき年でした。昨年は、とくに、国際化に向けた進化の年でした。


2004年の特徴は英語以外での言語のプロジェクトの顕著な成長率にあります。この年、英語以外の言語による百科事典の項目の総数は、英語版ウィキペディアの項目の総数を越えました。http://www.wikipedia.org への多言語ポータルの設置は、二年に渡る議論の末、こうした国際化を反映しました。

多くのローカルコミュニティは、いまや強い内的な絆によって結び付けられており、また英語版コミュニティで行われている方法を単にうつしたというより、むしろ自治を行なっています。さらに素晴らしいことには、英語版以外のウィキペディア・コミュニティのいくつかは、他のコミュニティに刺激を与える元となってきました。とりわけ印象深いことは、それぞれのコミュニティで、CD での出版など数多くの独自な試みが行なわれたことです。それらの試みには、プロジェクトの間の協力を強めるものもありました。メリー・クリスマス・プロジェクト、今週の翻訳記事、また最近では国際執筆コンテストなどです。この号では、こうしたプロジェクトを知っていただきたく思いますので、紹介いたします。

昨年は、ウィキペディアンによるミーティングの年でもありました。人と人とが、さまざまな国のさまざまな都市で、とくに、ヨーロッパとアジアで集まりました。いくつかを挙げましょう、パリ、ベルリン、ミュンヘン、ロッテルダム、ロンドン、台北……。こうした活発なコミュニティがあることは、私たちのプロジェクトが地球規模で発展している生きた証拠です。けれども、多様なコミュニティの間のコミュニケーションは、ときに依然として困難をはらみます。このことはウィキペディアンの話す言語が多様であることを考えれば、驚くことではありません。

Quarto のような発行物は、一年前なら、1つの言語か、せいぜいが2言語で出されていたことでしょう。ところが現在では、多くの言語への翻訳がなされています。昨年一年間には、各コミュニティの相互交流が増えるよう、すべてのコミュニティに開かれている「メタウィキメディア」 http://meta.wikimedia.org において、メタと他のサイトの重要なページを翻訳するための、そしてすべてのプロジェクトからの意見を考慮に入れるための多くの努力がなされました。


私たちのプロジェクトの国際的な側面は、運営の分野と法的な分野にもはっきりと現れています。私たちは、すべてのプロジェクトの成長と発展を支援するために財団を設立し、ウィキペディアンを代表する2名の理事を選出する選挙を行いました。二人とも女性で、私は繰り返していうことをいとわないのですが、こうしたことは管理運営という部門ではまれなことです。この年はまた、ドイツとフランスに地方支部が誕生し、また他の法人の準備がなされました。

ほんの3年前に、私は http://www.wikipedia.com にあった小さな英語のプロジェクトに参加したのですが、このプロジェクトは聞いたことのないアメリカの起業家がオーナーでした。これはすばらしいプロジェクトでしたが、単一の言語を対象とするものであるために、その言語を話さない私にはやや不満の残るものでもありました。今日、私たちは複雑な世界規模の多言語プロジェクトにまで進化しており、その運営は非営利団体が行っています。

2005年の私の希望の一つは、必要ならば外部とのコラボレーションによって、小さいウィキペディア(たとえばアラビア語)にその言語の参加者を増やすことに成功することです。もう一つは、技術インフラが弱く、インターネットアクセスをもたない国々の潜在的な読者に対して、私たちが現実に参照可能な情報源になることです。あらゆる文化圏に属する編集者が参加することは、中立で均衡の取れた視点という私たちの目的に到達するために重要なのです。

これを読んでいる私たちは、情報へのアクセス手段に不足していません。むしろ、テレビ、ラジオ、新聞、インターネットから供給される過剰な情報に私たちは飲み込まれかかっています……むしろ私たちにとって問題なのは、情報を選別するということ、信頼する情報を手にするということです。しかし、人類の大多数はこうした情報源へのアクセスを欠いています。そしてこうした状況の改善のために助けを必要としています。情報へのアクセスをもつものと、もたないものとの間の差が広がることを、私たちは防がなければいけないのです。


アンテール
アンテール

最後に、私たちすべてにとって、あらゆる国の男女を参加者としてもつこと、私たちの同質性と差異のバランスを保つこと、この差異に寛容になり、差異に感謝しつつ歩むようにつとめることは、望外の機会なのです。多くの国では、特定のグループの人々を黙らせておくため、このような差異は手榴弾の爆発によって統制されています。私たちには合意を見つける以外の選択肢はありません。私たちにあるのは言葉だけですが、言葉こそ用いられなければならないものなのです。


--Anthere / Florence Devouard


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