教育ニュース/2022年6月/ロシアで初学者対象の大規模なオンライン授業を開発、ウィキペディアの編集を伝授へ

From Meta, a Wikimedia project coordination wiki

ロシアで初学者対象の大規模なオンライン授業を開発、ウィキペディアの編集を伝授へ

執筆者: Dmitry Rozhkov

要約: ウィキメディア・ロシア協会ではオンライン授業を立ち上げ、ウィキペディアでの作業の方法を教えるコンパクトなガイドラインを提供、ウィキペディアへの投稿の方法や情報源の基礎知識ほか、さまざまな主題を盛り込みました。

2021年にウィキメディア・ロシア協会ではウィキペディアで作業するオンライン授業を立ち上げました。

教材は誰でも使えるよう公開され、2021年9月から受講登録者を対象に指導役をつけて研修が始まりました。オンライン授業の参加費は全く無料であり、授業72回で大項目となる主題12件をまとめてあります。テストは153問の練習問題であり、どれもウィキペディアの編集をする初学者が直面する現実の状況を模してあり、学んだ知識を実践へ移す助けになります。

この研修コースには、ウィキメディア・ロシア協会が発行した無料の手引き書が支給されます。授業のポイントとなる事項には次を含みます。ウィキメディアのプロジェクト群と採用する技術類、ウィキペディアのアカウント登録、百科事典のインターフェースおよびビジュアルエディタの操作、ウィキのマークアップ(書式設定)の詳細、さらに最重要ポイントとして、情報源の使い方と正しい出典の書き方。

プロジェクト管理者のスタニスラウ・コズロヴスキ(Stanislav Kozlovsky)の説明です。「この授業はウィキペディアの最も肝心な領域について、ロシア語で行う初のオンライン授業である。世界版百科事典の記事の執筆と編集の方法を教えるばかりでなく、情報源の探し方と正しい使い方を学べて、これは現代の学生にとって非常に重要である。さらに、学生として明白かつ事実に基づき結果が目に見える作業は誠に有益である。自分がたまたま執筆したウィキの記事は誰でも読むことができ、その読者数はときには数千、数万人単位にのぼり、対照的に、大学に提出する学術的な論考は原則として審査委員の他に読者がいない。」

教材はロシアの Stepik というプラットフォームで無料ライセンスのクリエーティブ・コモンズの規定に従って公開され、誰でも無料で利用できます。同時に、受講者50名に対して指導役から丁寧なフィードバックと支援を提供し、初回の一連の授業は2021年秋に始まりました。この第一波に乗り遅れた人たちを対象に、第2回を2022年春に開始しています。さかのぼって2021年11月時点で1000人目の学生がオンラインで受講登録を済ませました。

「新しい執筆者はウィキメディアのコミュニティに命の息吹を吹き込み、ウィキペディアという著名なインターネット版百科事典を創造する。その存在を抜きにしてはプロジェクトの発展は停止してしまうため、新しい執筆者には細心の配慮をしている。この授業はボランティアの参加を促す努力の鍵となる要素と捉えた。これまでは積極的に関与ができなかった。ウィキペディアのコミュニティは、研修に充てる十分なリソースを持ち合わせていなかったからである。そこで新しい執筆者の活動を歓迎するどころか、新人の失敗でエラーが発生すると眉をひそめる者たちが現れ、多くの初学者は十分に馴染むことのないままウィキペディアを離れていった。そこで、なんとかこの状況を変えたいと希望している。」これはウィキメディア・ロシア協会会長ウラディミール・メデイコの解説です。

ウィキペディアのロシア語版は年間読者数およそ97百万人とされています。事実、最もよく参照される情報源のひとつでもあります。ウィキペディアの記事の質を左右する最も重要な要素として、信頼でき権威のある情報源から引用する点があげられます。ウィキメディア・ロシア語オンライン授業の趣旨として、執筆者に質の高い記事を書けるように研修を受けてもらいます。

当プロジェクト関連では記事執筆大会を何度か開催し、オンライン授業で補佐を受け、方法論を示した参考資料が配られます。プロジェクトの活動は2022年6月いっぱい行われる予定です。