ユニバーサルな行動規範/2020年第1回聞き取り調査

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ユニバーサルな行動規範

はじめに

信頼安全部門は2019年6月、現行の行動に関する方針をウィキメディア運動全般をめぐり調査しました。その成果よりウィキメディアの全コミュニティ中、50%超で方針が未開発[1]、もしくは方針を全く設けず、行動の指針やそれぞれのプロジェクトにおける終始徹底方針を行っていません。

私たちの運動全体でコミュニティがどのような現状にあるのか理解を深めるため、信頼安全部門 (T&S) は3ヵ月にわたるそれぞれの言語版聞き取り調査プロセスを設け、それぞれ大変に特徴的なコミュニティを対象にしました。聞き取り調査はコミュニティの参加者12名により実施され、担当がそれぞれその言語の話者である19コミュニティを対象に、行動に関する方針の現状、ユニバーサルな行動規範 (UCoC) を運動が採用すると果たして特定のコミュニティに有益であるかどうか質的な洞察を得ようと試みました。主目的は行動の方針に関するコミュニティ群の需要と懸念の質的な洞察のききとりにありました[2] 

T&S が聞き取り調査対象に選択した言語版は、様々な要素に基づいています。世界の異なる地域のウィキメディアンの皆さん 意見を聞きたいと望みました。特に、中枢の英語寡占のチャンネル、すなわちメタウィキメディアやmailing listの Wikimedia-l のメールのやり取りでは常日頃から聞くことのできない声に触れようとしました。(過去の事例では規模が小さめで英語以外のコミュニティの意向として、どうせ聞き入れられないのだから、グローバルな討議への参加に積極的ではないとあげられており、そのような状況を避けるためでもあります。) もちろん多様なコミュニティ、すなわち規模の大小、設置後の年数の長短に加え行動の方針の作成のレベルが異なるコミュニティの観点を知りたかったのです。結局のところ、調査の担当者として採用した人々の話せる言語など、対象言語の選択が実際的な考慮に基づいた部分もあります。

調査対象

UCoC 聞き取り調査の実施地域

回答率

多様なコミュニティとの関与の概観

コミュニティからのフィードバックと回答率は一様ではありませんでした。2、3のコミュニティで聞き取り調査に活発な参加があり、他には繰り返し勧誘したところもあります。当初はなかなか控えめであったのに次第に発言が増えたところ、まったく反応がなかったところもありました。それに加え新型コロナウイルス感染症 (COVID-19) 関連の心配事や実生活の困難さから、コミュニティの皆さんが参加しにくいという影響も見られ、他のコミュニティよりも事態が深刻なところもありました。討議への意欲が熱くてもそうでなくても、おおかたの場合、財団が皆さんの地域の言語で取り組んだ点に肯定的な声が聞かれました。もしも行動規範を施行するときは、是が非でも多言語化することを強く求められました。

標準偏差

多様なコミュニティの反応

コミュニティの関与は、それぞれのコミュニティならびに回答者の需要と実践に基づいて標準偏差を出しました。コミュニティの使用言語が異なると討議の形式の選択や意思疎通のチャンネルも異なります。重要な討議はメタで行うべきとするところもあれば、大多数はそれぞれの「井戸端」ページを討議の場とし、SNSで補完することを望んでいます。多くのコミュニティの参加者にとって、嫌がらせ事案や問題行動は話し合いに神経を使う課題であり、直接、担当者と非公開で議論するか、匿名性の保障されたアンケートで回答したいという意向が伝わりました。聞き取り担当者はそれぞれの意向を尊重して会話空間やコミュニティ固有の討論の方法を採用しました。コミュニティとの関与に用いた方法はさまざまで、参加者の皆さんから勧められた意思疎通のチャンネルを適用しています。

集計結果

性別
利用者の権限

コミュニティから集まったフィードバックは適宜に記録し、それぞれの言語の聞き取り担当がまとめを書きました。それぞれの言語に合った見出しを付けて個別のまとめを提示し、複数言語を1本のまとめに統合したものもあります。

コミュニティの洞察

  1. アラビア語
  2. ベンガリ語
  3. 中国語
  4. ヒンディー語
  5. 日本語
  6. カンナダ語+ツル語
  7. マラヤーラム語
  8. オディーヤ語
  9. ペルシャ語
  10. パンジャビー語
  11. ロシア語+バシキール語+タタール語
  12. サンタリ語
  13. スペイン語
  14. スワヒリ語
  15. タミル語+マラーティー語
  16. ベトナム語

回答者の支持・不支持の理由も合わせて集計し、広範な洞察を得ることができました。

サポートが必要な理由

全体として聞き取り担当者はウィキメディアン合計1,466人から回答を受けました。その60.7%の利用者は、運動におけるユニバーサルな行動規範の起草と実施という考えを強く支持しました。20.8%の利用者は条件付きで支持し、起草のプロセスが徹底的で透明性を保つ点、施行のメカニズムを構造化し持続させる必要性が条件とされました。

詳細はそれぞれの個別の報告書に譲るとして、ユニバーサルな行動規範を総括的に支持した個人は、UCoCへの期待として次のことを表明しました。

  • 運動において多様性ならびに包括性を確保する
  • 多様な声をあげる先として安全なプラットフォームの実現
  • 協働して運動に取り組む雰囲気づくりと確立

コミュニティ群として、嫌がらせ行為と差別は運動において認められないという総意が示されました。討議の参加者より、多くのコミュニティでたとえ経験が長い編集者や管理者であっても、他の編集者の問題行動を取り上げて自由に発言するには無理があり、コミュニティの報復や嫌がらせを恐れること、より強力な行動方針を実施する必要性が指摘されました。これは、コミュニティのリーダー格の皆さんでさえUCoCの議論に公然と取り組めない原因となりました。

「嫌がらせ/個人攻撃をこうむったせいでプロジェクトへの貢献を辞めてしまったウィキメディアンがどれほどいたことか。この傾向はもうストップさせるべきです。UCoCはとても重要だし必然です。もっと早く取り入れていてもよかったはず。」

            - インド諸語コミュニティのベテラン編集者

規模が小さく新興のコミュニティには、UCoCに基づいてローカル向けのもっと理解しやすい方針を作成するという柔軟性が認められ、その点にはコミュニティの皆さんから賛意が寄せられました。利用者にとってUCoC とは、単に小規模の新興コミュニティに運動への帰属意識を高めるばかりではなく、運動全般を対象とした討議への参加を後押しするものと信じられています。

「UCoCがあるとウィキメディアンとしてWMFのプロジェクト群に自由に貢献しやすくなり、特に見解の相違がある場合でも、表現の自由の享受を保障されます。」

            - スワヒリ語コミュニティの参加者

懸念の理由

回答者の9.3%はUCocという発想に反対でした。これらの利用者は普遍的な価値創出の複雑さに正当な懸念があり、さらにローカルのコミュニティの自治性が保たれるのか懸念を表明しました。自発的な統治システムというコミュニティが備えてきた伝統が、UCoCに挑まれるかもしれないと恐れています。自分たちの環境には現状として健全性がないと述べたコミュニティも存在するものの、UCocをそのような課題の解決策とは考えていません。

反対意見にはその他の主旨として、プロセスの透明性欠如、意思疎通のアンバランス、さらに財団の能力において多様な文化的ニュアンスと感度を考慮した一連のガイドラインを形成できないだろうという信念が示されました。

「コミュニティ内の文化的な差異から、たった一式のUCoCだけで充足できるものではありません。対象となる人々に応じて異なるはず。」

            - 中国語コミュニティの参加者

EUの法律と比べてみたらよいのです。参加国全てを対象にしながら恒久的なものではなく、格差が、あるいは特定の集団を考慮外においていると感知された時点で、共同体自体が崩壊しかねません。ちょうどイギリスの前例が示すようにね。 :)」

            - アラビア語コミュニティの参加者

中立的な立場からの提言

中立的な立場を示した参加者は2.2%、立場を明言しなかった層は 7% でしたが、ヒントとなる提言を受けています。コミュニティの皆さんよりユニバーサルな行動規範の草案づくりだけでは効果は薄く、例外なく運動全般に強制する必要があるというものです。真の意味でユニバーサル(普遍的)であるためには、視点を広げてコミュニティやプロジェクト単位に限らず、さまざまなプラットフォームにおけるウィキ関連の討議もそうだし、仮想空間ならびに面談式のイベントにも目を配るべきだという指摘です。規範の草案は多言語化を図ること、定期的な見直しと必要に応じた更新が欠かせません。その目的に叶う専門委員会を置くべきと示唆されました。

「嫌がらせ行為はしばしばウィキペディアから離れSNS空間へと広がる傾向があり、理由はSNS空間に利用者が掲載する個人情報のほうが多いからです。そこで UCoC はオフウィキのプラットフォームにも適用される必要があります」

            - ベトナム語コミュニティの参加者の意見

「成立したときには、ユニバーサルな行動規範を定期的に見直さなければなりません」

            - ファルシ語コミュニティの参加者の意見

コミュニティの皆さんから提示された賛成意見、懸念、提案はすべて適宜に注視しており、行動規範の草案づくりにおいて考慮の対象とする予定です。

聞き取り調査対象のコミュニティ群のフィードバック総体を分析

洞察

それぞれの言語版に関する聞き取り調査はたいへんに洞察に満ちており、個別のコミュニティに現れる問題の理解を助けるものでした。聞き取り役(ファシリテータ)はこれまでWMFとの関係を築かないままだったコミュニティでも有意義な協議を行うことができました。運動で公に語られることのなかったストーリーをいくつも聴きました。コミュニティ固有のストーリーのあらましは、それぞれの言語版の概要に含まれています。全てのストーリーを掲載できませんが、公開したストーリーも利用者のプライバシーを尊重し匿名化を尽くしてあります。掲載したストーリーには、複数のコミュニティに共通点を見出すものも、非常に特徴的なものもあります。

多くのコミュニティでは、既存の行動の方針すら認識されていない点、またわかりやすい方針を自前でまとめる時間やマンパワーのないコミュニティもあることは注目に値します。

ユニバーサルな行動規範と一口に言っても、コミュニティごとにそれぞれの優先事項や要望が異なることもわかりました。たとえばあるコミュニティではおおよそのところ、管理者による権利の悪用に失望し、ユニバーサルな行動規範にその点を盛り込んでほしいと希望しています。別のコミュニティは宗教観への特段の配慮が必要だと強調しました。女性編集者に対する嫌がらせ対策の喫緊性を優先事項としたのは複数のコミュニティであり、方針に差別のない包括性を盛り込むことに反意を示し、方向性が全く異なるコミュニティも1件あります。それぞれのローカルの言語コミュニティで聞き取ることで表面化したストーリーや要求は多様であり、それらをユニバーサルな行動規範に表明することは簡単ではありませんが、今後もコミュニティの皆さんとともに、それらをまとめて提言するよう努めていく所存です。

聞き取り調査の結果の援用と今後の展開

ユニバーサルな行動規範草稿委員会を2020年6月に立ち上げ、UCoCの草稿作成に取り掛かる予定です。聞き取り調査で知り得た発見を今後の協議とあわせて考慮し、ウィキメディアのコミュニティ群の需要と懸念を反映した基本となる文案を適応させます。

本プロジェクトの日程表はプロジェクトのメインページに掲出されます。

脚注

  1. 調査対象のウィキペディア98件につき、52件 (53% ) には行動の方針がゼロもしくはごく少しでした。英語版ウィキペディアと方針の名称および内容が似るウィキペディアは16件、また別の16件には独自の方針と英語版から移入したものが併存します。独得の文化背景を考慮した独自の方針を作る14プロジェクトです。
  2. 設問は UCoC を支持するかどうかという形式をとりつつ、それぞれのコミュニティが重視する要素の理解を意図したものです。この調査は統計的にUCoCの支持・不支持の割合を示すものではありません。