ウィキメディア財団 年次計画/2024-2025/財務モデル

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年次予算はゆるやかな増加基調

This time last year, we found ourselves in an uncertain environment with expected flattening revenue growth into the future. 昨年の今頃は不確実な環境に陥っており、将来にわたって収益の伸びが横ばいになると予想されました。オンラインやバナーを介した募金活動の予測では、さまざまな理由により過去数年と同ペースで成長が続くことはもうないと示していました。

それを受けて一部の分野では内部経費の削減とコスト効率を向上し、他の分野では助成金の増額や「製品技術部門」の予算据え置きなど資金を投入しました。

2024-2025年次ならびにそれ以降の計画を立てるにあたり、経済と社会文化、技術面の不確実性との闘いが続くと予想されます。 私たちが注目した今年の外部トレンドは、以前から継続するものが複数あり、新たなトレンドも生まれています。一方でインフレ緩和傾向が見られる地域、他方では依然としてインフレ率が高止まりの地域があります。

将来の資金調達の立案は、効率性志向

2024-2025予算年次には不確実で変化する環境に対応できる計画とシナリオを準備するため、複数年にわたる財務モデルをさらに展開します。

現状の年次計画のモデルによると緩やかな収益成長が期待でき、2024-2025年次は約 5%、その後の2年間は 5% 増減と示唆しています。

このリスク軽減と収益源の多様化をにらみ、長期的な取り組みを次のように進めているところです。

  • プロジェクトに対する長期サポートを拡張する上で、ウィキメディア基金の役割を重くできるよう取り組みます(Wikimedia Endowment )。
  • ウィキメディア・エンタープライズについてはウェブサイトの枠を超えて読者の利用者体験を高める能力を評価を続けますし、併行して私たちのウィキメディア運動を財政的に支援してもらうよう、非常に大規模な再利用企業に対して働きかけていきます。
  • 資金調達の新規チャンネルから収益が上がるか、複数を試しているところです。

経費面では昨年の経費を削減する取り組みに続き、財団自体の成長率は鈍化ベースとして、他のウィキメディア運動の団体向けの支援財源を増やします。効率を高め、継続的なコストを削減する方法を模索しています。 今年は財団の事務所の面積を縮小し、賃貸関連経費は2024-2025予算年次の50万アメリカドル削減、将来的には100万ドル以上圧縮する見込みです。また非効率性を排除する機会を引き続き特定しており、業務の合理化や定期契約関連の交渉、さらにコスト効率を高める仕事の進め方に取り組んでいきます。

私たちは人事関連に最も重要な投資を行っており、最も重要な決定課題は、何に時間を費やすかを決めることです。世界トップ10 位のウェブサイトを維持するデータ・センターの運営要員こそ、無償の知識を世界に提供する機能の構築、人々とプロジェクトに法的弁護を提供し、ボランティアの皆さんや提携団体をサポートしているのです。

この複数年モデルの構築により、予想される継続的な不確実性に適切に財団が対処できるように、かつ現在の水準近辺および理事会の設定方針12-18箇月内は準備金を維持するように目指します。 また例えばプログラム経費に費やす予算の割合などの分野では、非営利の財務上の最善手法にも準拠します。

再入戦略

2024-2025年次の収入目標
現在のニーズを満たすよう、過去の成長促進をもたらした資金調達方法を引き続き改善します。
将来、ウィキペディアのコンテンツが私たちのプラットフォーム外部で消費されても、収益を増やす長期戦略に投資します。
資金調達インフラを改良し効率化。

ウィキメディア財団は過去10年にわたり、人々がウィキペディアのコンテンツを消費する方法に大きな変化が起こると予測して、強固で多様な収益戦略を構築してきました。 主にウィキペディアに掲出するバナーを介して読者から寄付を受け、この10年間は私たちの運動の収益を伸ばすことができました。 インターネットの進化につれ、ウィキペディアのプラットフォーム外部でウィキペディアのコンテンツを利用する人々が増えるにつれ、私たちの主な収益戦略はウィキペディアで集める寄付に依存できないと明らかになりました。 変化する読者傾向に対して、より柔軟な収益チャンネルを右のように新たに開発し始めました。ウィキメディア・エンタープライズ、ウィキメディア基金、さらに大口寄付プログラムは伸び続けています。 そうは言っても、読者の寄付は– 世界各地の寄付者は 750 万人、1回平均およそ11アメリカドル – 依然として収益構成の重要な部分を占めています。 そして、短期および中期の成功にとって非常に重要なこれらのチャンネルは、まだ成長の可能性があります。 24-25予算年次には、これまで収益の大部分を占めてきた読者の寄付チャンネルの最適化を継続、併行して長期的な収益チャンネルとして、将来の収益の成長促進の可能性が高いものをさらに開発していきます。

製品と収入は「ダンスのパートナー」

昨年の計画では製品と収益の「ダンス・パートナー」 という概念を導入し、製品戦略と収益戦略がどのように相互に関連し、相互依存しているか説明しました。 オンライン環境の変化と、未来はコンテンツを直接ウィキペディアのサイトでは読まない読者が中心になると考えられ、私たちはこの概念をさらに深く理解する必要があります。 統一された製品および収益戦略を構築して、特にウィキメディア・エンタープライズとウィキペディアのコンテンツの再利用の方法に関連し、長期の回復力を実現するよう目指します。

直近と注記の再入戦略

財団は今後1年をかけて年間基金として1億8875万ドル、前年度予算比5%増を調達する予定です。 私たちはこれを実現するため、主にバナー告知と電子メールを組み合わせた募金活動を体系的に改善します。 また寄付者の体験向上により、毎月の定期寄付その他の成長チャンネルをさらに発展させます。 これらの改善の目標とは新しい寄付者に訴求し、その寄付者を毎年つなぎとめ、長期的な支援とウィキメディア運動への関与について、関係性を構築する方法の改善にあります。

財団は新しい募金チャンネルで、ダイレクトメールやSMSなど、私達のプラットフォーム外部の読者に届き、収益源の多様化と、より回復力のある資金調達プログラムを実現するものの立ち上げに投資します。 世界中のより多くの読者に私たちの使命を支えてもらう機会を提供したく、さらに多くの国で募金キャンペーンを開始できないか、引き続き検討していきます。

この1年にわたり、財団とボランティアのコミュニティが協力してさまざまな利害関係者を巻き込み、私たちの使命への支援を読者に呼びかけてきました。 今後1年間には、資金調達戦略にコミュニティの関与をさらに取り付けて、主要な利害関係者の協働による効果的な資金調達を実現していきます。 資金調達の活動は適切なバランスが肝心であり、収益と、その活動が読者やボランティアの皆さんに波及する影響と、どちらも最大化する必要があります。

資金調達のインフラを改善

また財団は募金インフラを改善し、現在および将来の募金活動をより効果的かつ効率的に行います。これには、支出その他の資金調達の技術的インフラの改善が含まれます。 その取り組みが資金調達プログラムの進化につれて最大限の効果を発揮できるように、私たちはシステムとプロセスを評価し反復し適応させていきます。

長期の歳入戦略

ウィキメディア寄託金

ウィキメディア寄託金の仕組みとは?
  • 寄付する:基金の元本から寄付する(元本)
  • 成長:元本は投資により、時間とともに成長する(収益)
  • 助成金:投資収益の一部はウィキメディアのプロジェクト群を支えるため - 永続的に与えられます(各種の助成金)

2016年設立のウィキメディア寄託金はアメリカ合衆国を拠点とする内国歳入法501条C項3号に準拠した慈善団体であり、ウィキメディアのプロジェクト群の運営および活動を永続して支える恒久的な保管基金を提供します。 財政基金として、その元本(または「コーパス」)の価値は永久にそのまま維持されると意図されますが、基金の一部は毎年支出される可能性があります。 ウィキメディア財団の年次基金への寄付金は、現会計年度の当面の需要に充てられるところ、ウィキメディア寄託金への寄付は決して使われません。むしろ他の寄託金口の寄付と一緒に投資されるので、毎年、利益を生み出す可能性があります。 ウィキメディアのプロジェクトに還元する総額を長期的に見ると、寄付者が年次基金口に1回のみ寄せられた場合よりも、寄託金口に集まった寄付の総額は最終的により多くの果実をもたらすことになります。 いずれのご寄付も、私たちの運動の財政的持続可能性を高めるための重要な方策です。ウィキメディア寄付金委員会では複数年にわたる資金調達キャンペーンの2回目を承認しました。これにより寄託金はウィキメディアのプロジェクト群に対して、今後、何年にもわたってさらに大きな支援を繰り返すようになります。

遺言信託

遺産寄付は、将来の寄付の誓約を集める方法であり、遺言による寄付と受益者の指定を通じて行われる方式が最も一般的です。 アメリカ合衆国のオンライン・ツールで、フリー・ウィル( FreeWill)という合法の遺言書を無料で作成するものと提携し、ウィキメディア基金への遺贈が容易にかなうようにしました。 また新しい寄付方法を遺産寄付プログラムに追加し、かくれた将来の遺産寄付者への支援を強化してこのプログラムを成熟させていきます。 今後の数年にわたって段階的に遺産寄付の取り組みのパイプライン構築を実現させようと目指しています。 2050年には、基金の主な資金源は遺産寄付になる可能性はあります。

ウィキメディアの技術革新を支える助成金

ウィキメディア基金とは、いまだに初期段階にありながら、すでにウィキメディアのプロジェクト群を財政面で支援し始め、急速に変化する技術環境に確実に対応できるように、2023年1月、ウィキメディアの技術革新プロジェクトへの出資についてウィキメディア寄付委員会は初回の助成金を承認しました。 同寄付委員会は、支出方針に従って毎年、助成金を承認します。 同基金の来年の計画については、詳細は2024年7月に発表予定の独自の年次計画をお待ちください。

ウィキメディア・エンタープライズ

Wikimedia Enterprise is a commercial service available to high-volume re-users of Wikimedia content(Wikimedia Enterprise).

ウィキメディア・エンタープライズは商用サービスとして、大量再利用者がウィキメディアのコンテンツを利用できるように取り計います(Wikimedia Enterprise)。 そのような再利用者を対象に、データ・アクセスやカスタマー対応、サービス・レベル保証(SLA)、専門的なコンサルティングを提供します(service level guarantees)。 その存在意義とは、財団とウィキメディア運動の相互に関連する目標3つを達成することにあります。

  • 収益:ウィキメディアのプロジェクト群の読者層は私たちのウェブサイトを訪問する代わりにさまざまなサードパーティ環境に移行し、それにつれて募金バナーなど読者と直接のコミュニケーションに依存した募金チャンネルから収益が失われ、ウィキメディア・エンタープライズの目的とは少なくともその一部を補うことです。

ウィキメディア・エンタープライズはウィキメディアのコンテンツの大規模な再利用者を対象として予測可能な一貫した方法を提供し、先方がデータから得たメリットの有意義な部分を運動に再投資する方式を描きます。

  • リソース管理:ウィキメディアのコンテンツを再利用はしても商用ではない利用者と比べると、商用で再利用する利用者はウィキメディアのサーバにかなり高速にしばしばアクセスすることがあり、他の再利用者やウェブサイトの訪問者よりも計算機ソースにかける負担が大きくなります。

サードパーティの再利用者による高頻度の使用とサイトスクレイピングに対応する負担に対応し、ウィキメディア・エンタープライズは主要サービスから外してエンタープライズ用のプラットフォームに移項します。 これにより、ウィキメディアのリソースはコンテンツへのすべての訪問者間の分配がより公平になります。

  • データとその理解:ウィキメディア・エンタープライズは定性および定量のデータ収集を通じて、ウィキメディアのデータがそのウェブサイトの外部で使用される状況をより深く理解し始めたところです。

ここでいうデータ収集はコンテンツ再利用について、さらに適切な対応をめざすエンタープライズ・チームにとって、商業的に望ましい機能や使い心地およびデータ形式の開発に必要な洞察をもらたすものです。 また財団とウィキメディア運動にとっては、ウィキメディアのコンテンツが第三者による再利用によって世界に発信される、あらゆる方法と環境の理解を深めるのにも役立ちます。

来年には、ウィキメディア・エンタープライズは将来の収益成長をもたらす重要な更新2件を次のように実施します。

  • '成長エンジンとして AI 市場を受け入れること:

当初のターゲットは検索エンジン市場でしたが、最近の人工知能 (AI) 市場の成長はウィキメディア・エンタープライズにとって大きな機会となってきました。 検索エンジン市場と同様に AI 市場は、ウィキメディアのデータに一貫して最新のアクセスを必要と、それは定期的であり反復されます。
ウィキメディアのデータは、AI 市場の主要および小規模のプレーヤーすべてが広く使用しており、これらデータは AI 開発のすべての段階で重要な役割を果たしており、たとえばコア AI モデル生成に使用されるトレーニング・プロセスや、これら AI モデルのトレーニング後の微調整、さらにチャット GPT など生成チャットほかのツールでこれらのモデルを表現しています。 商業的なチャンスは、基礎的な AI ツールを構築する AI 企業にも、これらのツールを使用して AI 活用のビジネス・モデルを開発する企業にも、双方に存在します。

  • 財団のサービスに無料枠を設けて、使用と購入を促進する:現在、軽い試用を超えて Wikimedia Enterprise にアクセスするには、担当チームと署名入り契約書を交わす必要があります。これはサービス利用の際に大きな参入障壁となります。
    来年度、Wikimedia Enterpriseは「サービスとしてのソフトウェア」モデルを開始し、非常に使いやすくて一貫したアクセス無料の層を専用のプラットフォームと結びます。

Wikimedia Enterpriseのアカウントを登録すると、規定の使用制限内に限ってエンタプライズ API 利用に加え、無料で外部サービスを構築できます。 前述の制限を超える必要がある人々には、支払いが明確に増えます。Wikimedia Enterprise へのアクセスはより幅広い用途に対応できるようになり、そのうちの数%は有意義な商業関係に展開する可能性があります。 予算年度(FY)2022-23には、Wikimedia Enterprise の収益は年間 320万アメリカドルであり、詳細は他の津チームが発表した直近の財務報告書に記載があります。(fiscal year)

フィランソロピーの文化と大口寄付金の増進

私たちは財団で慈善活動の文化育成に取り組んできました。この文化では職員全員、財務の持続可能性に向けた財団の取り組みと、私たち一人ひとりが組織の奉仕の大使を務めることを理解しています。来年は説明責任と寄付者とのつながり声援の活動に職員が参加する機会をさらに創出していきます。 財団全域の職員は寄付者を受け入れ私たちの使命を果たす主要な利害関係者として処遇しこの聴衆に奉仕するため行動をとり、影響力のあるストーリーを共有し、一般向け啓発キャンペーンや寄付者啓発研修へ足を運び、寄付者の会合やイベントにも参加します。 理事、副事務長および最高経営責任者チームそれぞれのレベルの職務内容に項目を追加し、大使としての財団の役割と、寄付者および一般の人々に対する私たちの活動の責任を述べます。