ユニバーサル行動規範/調整委員会/憲章
Voting period for the Universal Code of Conduct Coordinating Committee (U4C) is now closed. The scrutineers are now reviewing the voting process. Once they have completed their review, the results of the election will be announced. |
グローバルなコミュニティを反映したユニバーサル行動規範調整委員会(Code of Conduct Coordinating Committee、略称:U4C)は、ユニバーサル行動規範(Universal Code of Conduct、略称:UCoC)の公平かつ一貫した実施に特化した施行組織です。
U4C は他の高次の意思決定機関すなわち秘密保持契約(NDA)の定めに従う仲裁委員会やスチュワードほかと同等の機関です。当委員会はウィキメディアの特定のグループまたはコミュニティが、UCoC 施行の際にシステム上の失敗を犯したかどうか判断します。当委員会は、UCoC 関連の研修用資料の品質保証を提供し、コミュニティによるUCoCおよび施行ガイドライン(Enforcement Guidelines、EG)の年次見直しを監督します。
この憲章が述べる詳細とはU4Cの役務の範囲と趣旨、委員の選出、委員の役割、各種手続きの基本、方針と先行例に及びます。
1. 目的と範囲
1.1. 役割
U4Cの役務の範囲に以下を含みます。
- UCoC侵害通報の監視。U4Cは必要に応じて追加の調査を実施し対策を講じることがあります。
- UCoCの施行状況をウィキメディアのオンラインおよびオフラインのすべての空間にわたって観察し、2020年のウィキメディア財団理事会による批准に準拠します。
- U4C が進める年次評価の一環として、ウィキメディア財団とコミュニティに対してUCoC および UCoC 施行ガイドラインに関して当委員会が適切と考慮する変更を提案します。
- どちらの文書も当委員会が単独で変更することはできません。
- U4C は要請を受けた場合、ウィキメディア財団およびその他の利害関係者に対して、それぞれの管轄下にある事案の処理を支援します。
1.2. 職責
U4C は以下の責務を負います。
- 苦情および不服申し立て(appeals)に関して、施行ガイドラインに概説された状況を含め、これらに限定されない以下の状況で対処します。
- ローカルにUCoCを実施する職員の統治能力がない場合。
- ローカルの一貫した決定がUCoCと矛盾する場合。
- ローカルの統治構造およびチームがUCoC の施行を拒否する場合。
- リソースの不足または意志の欠如により、UCoC の適切な施行を妨げる問題への対処がローカルの統治過程を介し実行できない場合。
- 当該の苦情および異議申し立ての解決に必要な調査を実行します。
- UCoC の最善手法に関するリソースをコミュニティに提供し、必須の研修の資料、運動の参加者や組織が作成した研修リソースであり U4C 自体が監督する基本的な UCoC 研修資料を超えるものの品質を保証すること、さらに必要に応じてその他のリソースなどが対象です。
- 必要に応じてUCoC 施行ガイドラインと UCoC の最終解釈を提供するについて、コミュニティ参加者の施行構造と協働します。
- UCoC 施行の有効性を評価し、改善に向けて推奨事項を提供します。
責務には上記に加えて以下の要件があります。
- U4Cは、UCoC違反またはUCoC執行を第一に含む事案以外は引き受けません。
- U4Cは、深刻な組織上の問題を除き、最終的な意思決定権を委任できます。他の執行機関との関連におけるU4Cの職責は、 UCoC施行ガイドライン3.1.2.節で説明します。
1.3. 委員になるには
U4C はコミュニティの投票権を預かる委員16名と理事会が指名し2名を上限とする投票権のない委員で構成します。投票権のある委員の任期は2年とし、初回選挙期間は対象外とします(詳細は 3.2 節を参照。)
ウィキメディア財団は選挙権のない委員を2名を上限として指名でき、かつまた U4C の要請に従って委員会を補佐する要員を選ぶことができます。
1.4. 利益相反
投票する個々のU4C 委員は他の役職を辞任する必要はありませんが(例:ローカルの管理者 (sysop)、調停委員会の委員)、ウィキメディア財団もしくはその提携組織に職員もしくは臨時職員として雇用されることも、自らが理事職と兼任することもできません。
2. 選挙と任期
2.1. 委員就任の要件
委員と候補者各位には以下を守っていただきます。
- ユニバーサル行動規範を遵守する。
- 年齢は18歳以上であることと、当選後にウィキメディア財団と交わす非公開情報に関する機密保持契約 (NDA) に署名していただきます。
- 過去1年の間にウィキメディアのいずれのプロジェクトにおいてもブロックされず、あるいはまたイベント追放を受けていないこと。ブロックを課された経歴のある候補者は選挙管理委員会に対する陳情ができるものとし、例外を承認される可能性があります。
- ホームウィキ(訳注:常駐するプロジェクト)と出身の地域を公に自ら確認します。
- 選出手続きによって決定されるその他の資格要件を満たさなければなりません。
- 1件以上のウィキ・プロジェクトにアカウント登録して365日を経過した参加者であり、編集を合計500回超行ってきた実績があることとします。
選挙管理委員会は候補者が立候補要件を満たしているかどうか最終決定権を預かります。
2.2. 地域への普及
2.2.1. 地域分布
U4C がウィキメディア運動の多様性を必ず代表するように、各地域ごとに1名ずつ合計8名の代表者を地域分布して選出します。ウィキメディア財団の地域的アプローチに従い、地域分布は次のとおりとなります。
- 北アメリカ(アメリカ合衆国、カナダ)
- ヨーロッパ北部と西部
- ラテンアメリカとカリブ海地域
- ヨーロッパ中部と東部(CEE)
- サハラ以南アフリカ
- 中東とアフリカ北部
- 東アジア、東南アジアならびに太平洋地域(ESEAP)
- 南アジア
2.2.2. 拡大コミュニティ・グループ
拡大コミュニティ・グループから代表8名を選出します。
2.3. 任期
U4C 委員は任期2年とし、初回選挙はこの限りではありません。
初回の選挙は、地域候補者は任期2年、一般候補者は同じく1年をそれぞれ務めます。
2.4. 選挙
投票権を預かる U4C 委員の年次改選は当 U4C の監督を受け、当委員会の協力のもと選挙管理委員会が管理します。初回の選挙では、U4CBC が当委員会の立場を代行します。
候補者は委員の要件として第2.1節に記載の資格を満たすものとします。
U4C の初回選挙はできるだけ早く開催する予定であり、U4C憲章批准過程の正常な完了を待ちます。
選出手続きは以下の日程表に従います。
- U4C は投票日、選挙日程、地域代表ならびに一般代表の議席数の決定に関して、選挙期間初日から最短で1ヵ月前までに行います
- 選挙過程の開始を選挙管理委員会が宣言
- 推薦期間 – この期間に候補者の推薦を受け付け
- 候補者の資格検証期間
- 質疑応答の期間 – コミュニティから上がった質問に対して候補者が回答
- 投票期間 – 有権者は候補者に投票できる
2.5. 投票の手順
- 投票は無記名投票で行われ、投票は候補者ごとに支持票、反対票、中立票を入れます。
- 有権者はどの地域出身の候補者にも投票できます。
- 中立票は対象外です。
- 選挙管理委員会は、有権者の要件を決定します。
- 候補者は賛成票を分母(賛成票 + 反対票)で割り、支持票60%超が選出の要件です。この資格取得後の手順は次のとおりです。
- 各候補者の賛成票から反対票得点を差し引きます。その差が最大の候補者を各議席に選び出します。
- もし候補者2名の得票差が同じ場合、 支持率の割り算(分母は賛成票プラス反対票の和)の結果により優劣をつけます。
U4CBC は U4C の第1回委員会会議の終了を待ち解散し、U4Cはしかるべく早急に業務を始めます。
2.6. 欠員
空席がある場合、その理由が辞任、解任または特定の地域議席に候補者が選出されなかったかどうかにかかわらず、U4C はその議席を次の選挙で一時的に埋めるまで空席に保つことも、特別な選挙を呼びかけることもできます。辞任もしくは解任に起因する場合はU4Cの選択肢として、その時点の直近の選挙で得た支持票が60%超の次点候補者を委員に任命できます。
欠員を補充する委員はその議席の残りの任期を務めます。
3. 内部手順
U4C は、その役務の範囲にある限り、内部手順を作成または変更することができます。グループの過程において、委員相互に公平性を保ち不偏不党でなければなりません。適切な時期に合わせ意図した変更を実装する前に、U4C はその変更に関してコミュニティからフィードバックを募る必要があります。
3.1. 内部方針と先例
U4Cは新しい方針を作ることはなく、ユニバーサル行動規範とその施行ガイドラインを修正または変更することもありません。U4Cはむしろ、UCoCを定義された役務の範囲で適用し実施します。
時間の経過とともにコミュニティの方針とガイドラインと規範は進化するため、従前の決定は、現況に関連のある範囲に限定して考慮される場合があります。
ただしU4C はウィキメディア財団およびコミュニティに対して、U4C が主催する年次検討過程の一環として、UCoC ならびに施行ガイドラインの変更を検討するよう提案する場合があります。
3.2. U4C 委員の行動
U4C 委員は以下の各点に同意します。
- U4C の活動に積極的に参加し、U4C 参加を欠席する場合はその始めに U4C に通知してください。
- 当事者の行動に関する懸念に対して、タイムリーかつ適切な方法で対応します。
- 私的な通信や非公開の個人情報を含め、U4C と共有された個人情報の機密性を維持します。
- U4C 委員と同僚として関係を保ち、対人関係の対立を生産的に解決するよう努めます。
- U4C 委員は他の委員と比べても互いに力の優劣はないという考えを支持します。
- 透明性の高い方法で行動するよう努め、機密性を適切に維持しながら、可能な限り決定について説明します。
- ユニバーサル行動規範を含めたグローバルな政策に関する知識を備え、U4C が取り扱うあらゆる業務について、ローカルの方針や文化の知識を得るように努めるべきです。
U4C 委員は上記の期待に著しくもしくは繰り返し反する場合、公開の委員会決議をもって停止または除名される場合があります。この公開の委員会決議は全 U4C 委員の3分の2の支持票が必要であり、以下は投票過程プロセスから除外します。
- U4C 委員であり活動停止または除名に直面している場合および:
- 当該のU4C 委員に解決策に関するフィードバックを求め、既知の書面によるあらゆる通信手段を介しても30日以内に応答がない場合。
3.3. 透明化と秘密保持
少なくとも最小限の情報を添えてオンウィキで公開報告するものとします。
業務の決定はオンウィキで公的に報告し、アカウント名とプロジェクト名、日付および事案の基本的な説明を記載するものとします。個人情報保護または法的理由により公開の報告に適さない情報がある場合、必要に応じて報告書の詳細を拡大したり、当該の情報を省略したりして匿名化する必要があります。
特定の U4C 委員が機密保持契約に違反した場合、必要に応じて問題に適切な内部懲戒処分を介して対処することが重要です。オンブズ委員会は個人情報保護、非公開個人データへのアクセス方針、チェックユーザーの方針ならびにオーバーサイトの方針の違反も調査します。委員会は調査を実施して、違反の原因が過失か意図的か判断する必要があります。調査の結果、それが正当であると判断された場合、委員会はウィキメディア財団に対して機密保持契約の破棄を勧告する可能性があります。
3.4. 定足数
U4Cの議席は任意の人数にすることができますが、投票権を預かる委員(16名)の定足数50%(8名)に達成しない限り、当委員会はなんらの投票もしくは決定を行うことはできません。定足数を満たさない場合は、当委員会は票決を要しない問題について引き続き取り組み、必要に応じて特別選挙を呼びかけます。
3.5. 小委員会
U4C 設立委員会は U4C の設立時に、その配下に小委員会を最低2件作成するよう提言します。小委員会の1件目は U4C の業務に関連した予防、訓練、業務報告について、 2件目の小委員会は事例の評価と対処についてです。
3.6. サポートの組織化
作業によっては、特定のサポートの組織化が必要になる場合があります。U4C は当委員会の業務に対処するため、特定の任務や役割を担当させる小委員会の形成もしくは委員の指名をする場合があります。
ウィキメディア財団は委員会がその業務遂行に役立つツールを提供します(例えばセキュリティの保たれた通信ツール、非公開のウィキなど)。財団は U4C の要請により補佐要員を指名し追加することがあります。
3.7. ツール
当委員会は指示された内容を守り、なおかつ施行ガイドラインならびに方針を適切に遵守してUCoCを実施する上でシステム上の問題に対応するため、適切であり規模が見合うと判断したさまざまな方法を採用します。これには当委員会の管理運営を担当する委員もしくはその代表者に(ローカルならびに/もしくはウィキならびにメディアウィキのツール類の)利用者権限を設定したり申請したりすることが含まれ、メーリングリストや非公開ウィキに加えてその他のU4Cの任務遂行を支える非公開事案報告システム(Private Incident Reporting System)などの役に立つツールも対象であり、U4C委員の任期にわたり、新規作成や管理をウィキメディア財団とスチュワードに申し入れることができます。
U4C委員会の目的のために付与されるあらゆる権限は、他の管理権限をローカルまたはグローバルな過程により付与されない限り、U4Cの活動や調査および緊急事態に限定して行使されるべきです。
3.8. 忌避
U4C 委員は説明の有無にかかわらず、いかなる業務や業務のいかなる側面からも身を引くことができ、利益相反がある場合には必ず辞任します。この状況を受け、特定の U4C 委員は業務に関する協議には参加しても、投票過程には加わらない場合があります。
U4C 委員である限り、プロジェクトまたは提携団体の仕事へ U4C 委員の資格で参加している場合、自らの責任において辞退するかどうか決定します。U4C 委員は、業務への関与が他の役職または活動の直接の結果である場合には、その業務に参加しないものとします。この決定は引き続き U4C 委員全員による票決の対象となります。U4C 委員は誰でも辞任投票の棄権を選択できますが、業務の辞退に関する議論には引き続き参加できます。
U4C の業務に関する利益相反には通常、紛争の内容への個人的な関与、または業務に関与する一方の当事者との重大な個人的な関与が含まれます。当事者との従前のやり取りとして、編集者や管理者あるいは U4C との日常的なやり取りは、通常、退任の理由にはなりません。
3.8.1. 委員の退任申請のプロセスと手順
特定の U4C 委員は U4C の特定の業務から身を引くべきであると考える人は U4C に申請を送信するものとし、当該の人は自ら辞退するべきであること、どの業務か特定して申請の根拠を述べる必要があります。U4C 委員はその申請に従って辞任するか、さもなければ U4C 委員資格の投票を実施し、影響が及ぶ委員(複数可)は除外されます。
U4C は要請に対して、業務に関する投票を始める以前に回答するものとします。業務が投票段階に入った後に受けた撤回の要請は、特別な場合を除き認められません。
3.9. 関係性
U4C はUCoCについて公式もしくは非公式な助言や解釈(interpretation)を発することができます。U4Cは可能な限り、その他の高次の意思決定機関あるいはウィキメディア財団理事会、あるいはまたウィキメディア財団より助言もしくは解釈の要請を受けた場合はこれに応じるものとします。その他の集団あるいは個人も、U4Cに助言や解釈を求める場合があります。U4Cは適切な限りにおいて公開で公式の助言や解釈を文書化しなければなりません。
3.9.1. 運動統治のその他の構造との関係性
U4Cは施行ガイドラインの定めに従い、状況に応じUCoCに関する高次の意思決定機関としてまた他の高次の意思決定機関の同格のグループとして行動するものとします。当委員会の役割とは UCoC 最善手法についてコミュニティにリソースを提供すること、UCoC 施行においてローカルのグループにシステム障害(systemic failures)が生じた状況では最終的なリソースの役目を果たすことです。
提携団体の職員が関与する事案の場合、U4C は当該の提携団体と/あるいはまた提携団体委員会(AffCom)とともに事案を扱います。U4Cはウィキメディア運動の空間で職員の処遇に対処し、提携団体に対してその他の対処を勧告する立場にあります。
運動統治の構造はまたユニバーサル行動規範の施行事例もしくは異議申立てについて通例は U4C の役務の範囲にないものまで含めて U4C に照会します。 U4C の典型的な手続きに照らし、それら事例もしくは不服申し立ての聴き取りをするかどうか裁量します。
助言もしくは解釈あるいは事案の照会の申請は、通常はメタウィキ上で受け付けており、個人情報保護の観点から妥当でない場合は例外とします。個人情報が関与する場合の連絡は、U4C の専用のメールアドレスにて受け付けます。
4. 任務
4.1. UCoC およびその施行の研修用リソース類
U4C は、研修用リソースの作成と維持を監督するとともに、ウィキメディア財団と調整しそのような研修用リソースを翻訳します。
基本的な研修モジュールとは、施行ガイドラインの定めに対応するものとし、以下を含みます。
- オリエンテーション
- 特定と報告書作り
- 複雑な事案と不服申し立て
これらのモジュールは、learn.wiki などのプラットフォーム上で公にアクセスできるようにする上、ウィキメディア財団と協力してできるだけ多くの言語に翻訳する必要があります。U4C は言語一覧または言語数を決定します。
研修モジュールの提供に加え、U4C はウィキメディア財団や提携団体などやこれらに限定されないさまざまなコミュニティの関係者と協力して、他の研修方法を模索し対応できるものとします。
U4C は UCoC 違反および関連事項の最善手法を共有し、要請に応じて他の運動関係者が作成した UCoC 研修用リソースの品質保証と認定を提供することもできます。
最低限の基準を定義する UCoC はまた、コミュニティがその最低限の行動規範に沿ってそれぞれに構築するように呼びかけ奨励し、ウィキメディア運動の関係者には基本的な研修用リソースを基盤に構築し改善するよう勧奨します。
4.2. 管轄、手続き、判定、不服申し立て
4.2.1. 管轄
U4C は施行ガイドラインに定義された権限の範囲内で、ウィキメディアに関連するオンラインおよびオフラインのすべての空間で管轄権を有します。U4C では、第一に UCoC またはその施行違反に関連しない案件を受理しません。U4C は、システム上の問題が発生した場合を除き、最終的な意思決定権限を委任することができます。
U4C には、関連の上述の節に記載された場合を除き以下に関する権限がありません。(i)ウィキメディア財団またはその職員の公務。(ii)ウィキメディア提携団体における雇用関係の問題は、当該団体の管轄区域の法律および規制に準拠します。
システム上の問題が発生した場合を除き、NDA に署名した高次の意思決定機関が存在し効果的な組織統治を保証されている場合(調停委員会、提携団体委員会、グローバル評議会、選挙管理委員会、技術空間行動規範委員会、スチュワード)、U4C は管轄権を持ちません。U4C はまた分権化というウィキメディア運動の原則を尊重するべきであり、UCoC は可能な限りローカルの最も適切な層で施行されるべきであると認識します。
U4Cは、関連する施行プロセスを含めて審問した事項すべてに管轄権を保持し独自の裁量でいつでも手続きを再検討することができるものとし、案件が法的問題のためにプラットフォーム提供者であるウィキメディア財団に引き渡される場合を除外します。
4.2.1.1. システム上の問題
誰でもシステム上の問題に関連する事案を提起でき、U4C は過半数の支持を得て調査に着手することができます。システム上の問題に関してウィキメディア財団もしくは高次の意思決定組織から調査依頼を受けた場合は、当 U4C は調査を開始します。ユニバーサル行動規範の解釈に善意の不一致が発生した場合、それのみを根拠に高次の意思決定組織によるシステム的な規範施行の失敗と見なすことはできません。
コミュニティが承認した施行ガイドラインに準拠し、U4C はシステム上の問題(例: プロジェクトの乗っ取り)に対処するため適切かつ応分とみなされるすべての措置を講じて UCoC を適切に施行することができます。U4C は決定を下す際に、ウィキメディア財団やその他の運動団体による報告に依存したり、独自の外部報告を要請したりする場合があります。UCoC 施行を組織的に怠った場合の制裁には、ウィキの閉鎖に至るあらゆる措置が含まれます。判定後、報告書を公表してグローバルなコミュニティによる検討に資するものとします。
4.2.2. 議事録
4.2.2.1. 判定の評価を再申請する
判定評価は、U4C が指定した提出方法で要請しなければなりません。U4C は、独自の裁量であらゆる事項を承認または拒否することができます。要請の当事者および知識のあるその他の利用者の意見は考慮されますが、それらに拘束されるものではありません。
4.2.2.2. 手続きの形式
- 標準の手続き:既定では聴き取りは公開であり、関連する U4C のページに開示された手順に従います。 U4C の裁量により、公開の手続きでは - 通常は個人情報や嫌がらせ、法律上の重大な問題が関連して - 不服申し立ての参加者や第三者に不当な損害をもたらす可能性がある場合 - またはプラットフォーム提供者であるウィキメディア財団の法的、技術的、公共政策関連の義務に悪影響を与える可能性があると判断した場合、手続きを非公開にすることができます。当事者には決定が下される前に非公開審理の通知が届き、当事者自身について言及されたことに応じる適切な機会が与えられます。
- 迅速な手続き:事案の事実性に議論の余地が実質的にない場合、U4C は標準的な手続きを経ずに投票によって紛争を解決することができます。
4.2.2.3. 参加
事案の係属中に任期が満了した委員は、その事案が終了するまで活動を続けることができます。新しく任命された委員は U4C に先立って任命日に即時に活動を始め、あらゆる問題に積極的に取り組むことができます。
知識があり関心をいだいた利用者であれば、事案のページに発言の加筆ができます。発言の提出に関する規則について、U4C は必要に応じてさらに設定する場合があります。利用者は自分自身に関する発言に応じることができ、事案の対象となったいかなる利用者にも U4C は 誠意を持って連絡するよう努めます。それを怠った場合、対象者の関与がないまま判定が下される可能性があります。U4C 事案ページにおいて、編集者は全員 UCoC に従って行動する必要があり、これを怠った場合は制裁を受ける可能性があります。
4.2.2.4. 証拠の許容
あらゆる手続きにおいて、許容される証拠には以下を含みます。
- U4C の役務の範囲内であり、オンラインのプロジェクトやプラットフォームやサービスから削除されまたは非表示にされた部分を含めて編集および過去ログのすべての記載。
- オフラインの事件における証言と証拠のうちU4C が適切と判断したもの。
証拠はウィキメディア財団のプラットフォームとサービスで対応するあらゆる言語で許容されます。U4C は受理済みの資料の処理にリソースの追加が必要な場合、ウィキメディア財団と調整することができ、これはプラットフォーム提供者と協力する他のコミュニティの統治委員会と同様です。(他のウェブサイトやフォーラム、チャットルームや IRC 過去ログ、電子メール通信を含むがこれらに限定されない)非公開の通信に基づく証拠は、U4C が事前に同意した場合にのみ許容されます。
証拠は非公開で提出される場合もありますが、U4C は通常、すべての公開の手続きでは証拠の公開を期待しており、やむを得ない理由があり公開するべきではない場合、または訴訟が非公開であると決定された場合を例外とします。U4C は私的証拠の提出を認めるかどうか、それぞれのメリットに基づいて判定し、認められた場合、その証拠は非公開の聴き取りで検討されます。
4.2.2.5. 一時的な差し止め命令
不服申し立て事案の要請から事案の終了までの間には、U4C は裁定の期間中のいつ時点でも、一時的な差し止め命令を発して当事者または一般の利用者の行動を制限することができます。
4.2.3. 判定
4.2.3.1. 裁定の形式
決定は標準英語および当面の訴訟に関連する主言語(複数可)で明確かつ簡潔に記述します。通常は以下を含みます。(i) 主要な原則の概要を説明し、(ii) 事実認定を行い、(iii) 救済策と判決を示し、(iv) 執行のいずれかの取決めを指定します。条項の意味が U4C 委員と当事者またはその他の関心を寄せる編集者にとって不明瞭な場合は、要請に応じて明確にする場合があります。
4.2.4. 不服申し立て
4.2.4.1. 不服申し立ての許容
ブロック、追放または同様の制限を受けた個人利用者による不服申し立ては、通常、電子メールで行います。
4.2.4.2. 決定への不服申し立て
いずれの申し立ての当事者も、U4C に対して裁定の再考または修正を要請でき、U4Cはその裁量においてその要請を受理または不受理することができます。U4Cは裁定を再検討する前に最低経過時間を確保できるものとし、裁定の施行、もしくは従前の再検討の要請から起算します。
4.3. ユニバーサル行動規範と施行ガイドライン - 評価と改訂
4.3.1. UCoCの監視
U4C は財団による定期的な安全認識調査、財団独自の事案数の傾向およびコミュニティの同等の自主的統治手順から受けたフィードバックを注意深く監視して、UCoC 施行についてコミュニティの効果的な自治に対する課題を特定するものとします。特定された懸念事項は文書化して U4C の掲示板に公開し、適切に対処するか、UCoC および EG の年次評価中に取り上げるものとします。
年次評価に先立ち、U4C は以下の業務を完了します。
- グローバルなコミュニティの以下を含む担当者にご連絡ください。
- スチュワード(Stewards)
- 裁定委員会委員(ArbCom)
- 利用者調査者(チェックユーザー、Checkusers)
- 秘匿者(オーバーサイト、Oversighters)
- 管理者(Administrators)
- コミュニティ(Communities)
- 観察結果のうち、U4C がコミュニティにおける UCoC または EG 関連の課題を調査する必要があるものの報告書を提供します。U4C は、これらの報告書を提案に含めるには、議論する義務があります。
- メタウィキに誰でも利用できるコメントページを開設します。ここには固有の節が含まれ、コミュニティ参加者が U4C、EG、UCoC の施行とその機能の仕方に関する事項を報告します。コメントページは、年次評価に関する U4C 発信とリンク付けしてあります。U4C はそのページに寄せられたコメントや質問を精査しますが、フォローアップを徹底する義務はありません。
- 前述のメタウィキのコメントページには2番目の専用節があり、コミュニティ参加者はそこで改善や修正のアイデアを共有できます。その節の目的は個人からアイデアを集めるのに役立つこと、コミュニティ内のすべての声を受け入れることです。年次プロセス中に提案書を作成するU4C は、これらのアイデアを読んで採用するかどうかを決定する必要があります。
- ウィキメディア運動内で受け入れがたい行動の新しい傾向や異常な傾向が発生したかどうか、U4C は積極的に検知し識別する必要があります。傾向やコミュニティのコメントを観察し、学術研究を検討する場合があります。
4.3.2. 憲章、施行ガイドライン、UCoCの改訂
憲章、施行ガイドラインまたは UCoC の変更にはコミュニティの承認が必要です。U4C は独自の裁量により、UCoC、施行ガイドラインおよび憲章の年次評価を組織します。それには少なくとも以下を含みます。
- フィードバックの評価期間
- グローバルなコメント募集
- すべての経路から寄せられたコメントとコミュニティに蓄積された感情を評価
- 私たちの運動とインターネット全般に関する現状の研究から得る知見
- 草稿作成の期間
- 役員やコミュニティのコメント評価、掲示板に掲載された内部メモ、私たちの運動とインターネット全般に関する研究の現状から得た知見が含まれます。
- 草稿の作成段階では、公開のコミュニティとの対話は3回以上実施して、複数の標準時間帯に対応します。
- 草稿作成期間には、改訂した草稿を定期的に公開し、セッションごとまたは毎週にするかどうかは U4C の作業手順に従います。
- 草案最終稿はウィキメディア財団法務部がオンウィキで検討します。
- 投票期間
- コミュニティの参加者が投票し、当落は賛成60%超もしくは66%超とします
- ウィキメディア財団は、投票に先立つ最終草案の翻訳と、U4C の仕様に従って投票の実施と推進に当たることを保証します。
- 投票用紙は、有権者が実質的に章ごとに投票できるようにする必要があります。
5. 用語集
地域分布グループ:当グループはウィキメディア制定の8地域それぞれにおいて、コミュニティが互選したU4C代表者の集まりです。(8地域とは中央および東ヨーロッパ(CEE)、ラテンアメリカおよびカリブ海地域、中東および北アフリカ、アメリカ東部と北部(アメリカ合衆国およびカナダ)、南アジアと東アジア、東南アジアおよび大洋州(ESEAP)、サハラ以南アフリカ、西ヨーロッパを指します。)Regional Distribution group
拡大コミュニティ・グループ:当グループはウィキメディアのいずれかのプロジェクトに積極的に取り組む人から互選した U4C コミュニティ代表者の集まりです。ただし、同一の常駐ウィキ出身の委員は2名以内とし、この数は地域分布グループ選出の委員との合算とします。Community at Large group